4番の意地だ。阪神マウロ・ゴメス内野手(30)に83打席ぶりのアーチが飛び出した。0-6と敗色濃厚な9回。先頭で打席に立つと、中日福谷の外角135キロを振り抜いた。最後まで応援してくれていた左翼スタンドへ運ぶ3号ソロ。ただの「空砲」ではくくれない、価値ある1発だ。
「これからも戦っていくだけだよ」
2連敗の結末に、試合後は表情硬くバスに乗り込んだ。それでも4月19日巨人戦(甲子園)以来の本塁打に和田監督も「状態は上がってきている」とうなずいた。3回1死一、三塁での併殺打は反省も、1回と6回には安打をマーク。4月22日DeNA戦以来、18試合ぶりの猛打賞ときたら、明日19日からの巨人3連戦にも希望が見えてくる。
目の前のベンチから見ていた親友にも恩返しができた。握っていた下半分が黒、上半分が白のバットは同じドミニカ共和国から来た中日ルナのものだ。甲子園で戦った6日中日戦の試合前練習で譲り受けると、以降は自らのものと併用してきた。「形も一緒だから感覚も一緒だよ。くれたから使っているだけさ」。そう笑っていた新相棒の力も今後に向けて確認できた。
ワイシャツに着替えた帰りの名古屋駅。ファンからは「次も打って~!」とエール。確かな希望は最後の一振りにあった。【松本航】



