最高のアンパンチが出た。広島松山竜平外野手(29)が日本生命セ・パ交流戦で決勝弾を放った。同点の8回に、代わったばかりのオリックスのセットアッパー佐藤達から右翼へ2号ソロ。5月22日以来のスタメン出場に最高の結果を出した。チームも8日からの阪神戦以来の同一カード3連勝。5月の勝ち越しも決め、6月攻勢へ弾みを付けた。

 高めの144キロは、逆襲を誓った松山の餌食になった。打球は静まりかえる右翼スタンドへと弧を描いた。同点の8回。それまでわずか2安打、13三振を喫していた先発西から、セットアッパー佐藤達に代わっていた。「とにかく塁に出ること。次の打者につなげようと思っていた」。心構えとは裏腹に、一振りで決めた。カウント2-2からの5球目をジャストミートし、「いい感触でした」と満面の笑みだ。

 燃えるものがあった。シアーホルツとエルドレッドの両助っ人が1軍に戻ってからは、ベンチを温める時間が続いた。スタメン出場は22日ヤクルト戦以来。「人一倍気持ちが入っていたし、絶対に結果を残してやろうと思った」。1、2打席目は連続で空振り三振。だが焦りはなく「ダメなら(2軍に)落ちるだけ」と開き直った。集中力はピークだった。

 アンパンマンの愛称通り、普段から笑顔が絶えない。「野球は楽しくやるものだから」と、グラブにもモットーの「enjoy」の文字を入れている。勝ち取った開幕スタメンでも「緊張はまったくなくて、楽しもうとしか思っていなかった」。笑う門には福来たる。最重要局面で最高の結果を導き出した。

 財布に忍ばせた“お守り”も力をくれたのかもしれない。毎年1枚必ず撮るという息子2人の写真。手のひらサイズにプリントアウトして、肌身離さず持っている。時間を見つけては見つめ、活躍を誓う。「ここ一番の試合前には見るようにしています。遠征先だと会えなくて寂しいですし、頑張るぞ、ってなりますから」。大好きな野球と、守るべき笑顔。打たねばならない理由があった。

 アンパンチでチームは同一カード3連勝。緒方監督も「試合に出たいという気持ち、悔しさをぶつけてくれた。最高の結果になった。最高の形で3連勝できた」とたたえた。5月の勝ち越し(14勝12敗)を決め、借金は5まで減った。チーム一丸で逆襲の6月へ。松山の一撃はチームを上昇気流へと乗せるはずだ。【池本泰尚】