「ただいま」のあいさつが決勝打だ。阪神江越大賀外野手(22)が再昇格即、スタメン抜てきに応え、2回の第1打席で先制三塁打を放った。中堅への飛球が風に乗ってフェンスのてっぺんにガツン! あとちょっとで本塁打の鮮烈タイムリーだった。伊藤隼の故障離脱で巡ってきたチャンスに発奮。もう2軍落ちはゴメンだ-。

 ニュー江越が、いきなりヒーローになった。負傷離脱した伊藤隼に代わり、約1カ月ぶりに1軍再昇格。7番センターでスタメンに抜てきされると「三振を怖がって当てにいくのではなく、自分のスイングする」と気持ちを高ぶらせた。

 1打席目から体現した。2回。2死から今成が四球で出塁すると、聖地にこだまする歓声に応えた。ロッテ先発の左腕植松からカウント2-1、4球目121キロの低め直球を思い切り振り抜く。打球はセンターへ。清田が足を止め誰もが3アウト…と思った瞬間“神風”に乗った。ぐんぐんと伸びた打球がフェンス上部に直撃して弾む。あと数センチで本塁打。一塁走者の今成も悠々と生還した。

 「2軍で自分のタイミングでスイングすることを心がけて取り組んできました。それができた打席だったと思います」

 プロ入り初の三塁打は、岩貞の今季初勝利をアシストする決勝打になった。和田監督も江越の一打に「彼の持ち味。積極性もあってね。振れるというのが魅力の選手」と称賛した。

 開幕1軍も結果が出ず、5月6日に2度目の出場選手登録抹消。代わって1軍昇格したのは同い年で同じ外野手の中谷だった。

 「普段は仲がいいですけど、野球ではライバル。いい関係性を持ちながら刺激にしていきたいです」。虎風荘で息抜きのゲームをする際でも周囲に負けないよう、常に全力で勝負するという。本職の野球でもライバルに差をつけるため、掛布DCと二人三脚でアッパーになりがちなスイングを水平に振れるよう徹底した。その成果が実を結び、2軍で大活躍。掛布DCも「柔らかく振れるようになった。前の足の使い方もうまくなった。今度は(1軍で)打つんじゃないか」と予言していた。

 岩貞とのお立ち台でフラッシュを浴び、勝利の六甲おろしを全身に浴びた。「ずっと緊張してました」と初々しい。中堅のポジションは開幕からいまだ固定できていないのが虎の現状だ。三度目の正直。このチャンス、今度こそつかみ取る。【梶本長之】