聖地で輝いたのは虎戦士だった。日本ハム大谷のプロ初の「リアル二刀流」甲子園登場だったが、投げては先発ランディ・メッセンジャー投手(33)が大谷から3奪三振など8回無失点の力投。打線では昇格即スタメン出場の柴田講平外野手(28)が、2安打で大谷攻略の起点となった。やっぱり、甲子園には虎ナインの笑顔が似合う。
公称198センチ、121キロのメッセンジャーが、193センチ、90キロの大谷の前に大きくそびえ立ち続けた。
「ダルビッシュ(レンジャーズ)が日本にいたときに対戦したときもあんな感じだった。好投手だとは分かっている。あまり考えすぎると失投が増えるので、気にしないようにした。彼はいい打者でもある。普通の投手の1人と対戦するのではなく、野手の1人と考えていったよ」
打者大谷の実力も認めた上での真っ向勝負だった。1点の援護をもらった直後の5回。自身のバント処理ミスで無死一、二塁。打席には大谷。直球で追い込んだ後の4球目、大きく曲がりワンバウンドになったカーブで空振り三振に仕留めた。第1打席の決め球はフォーク。第3打席は直球で。計3打席全て空振り三振。8回でわずか2安打の無失点勝利。投手大谷は7回4安打1失点。軍配はメッセンジャーに上がった。
マウンドでの迫力のある表情から一変し、優しい笑みを浮かべたのはヒーローインタビュー。「ダディ!」とかわいい声が飛んだ。甲子園に来ていた愛する家族だった。小脇に抱えていたヒーロー賞のトラッキー人形をプレゼント。家族が見守る甲子園では4月28日ヤクルト戦以来、39日ぶりの勝利。子煩悩なイクメンにとって、何よりうれしい今季4勝目のはずだ。
不振で約3週間、2軍調整していた鳴尾浜では、練習後にダッシュする姿があった。でも、ダッシュは練習だけではない。メニューをみっちりこなした昼下がり。選手寮の虎風荘から一目散に車に駆け込む姿があった。幼稚園の送り迎えの時間が迫っていた。
「タイムリーや点を取るのが難しい1-0のゲームで、一生懸命投げて勝てたというのは、チームも自分自身も乗っていけると信じています」。1軍にいる時も合間を見つけては、ベネッサ夫人を手助けするパパは、グラウンドでも今季初の自身連勝と頼もしかった。【宮崎えり子】



