広島のエース前田健太投手(27)が、完投で球団創設4000勝を挙げ、混セを演出した。リーグ戦再開となるDeNA戦で5安打1失点完投。7連敗していたビジター登板で今季5勝目とようやく笑えた。チームは最下位ながら、中日に敗れた首位巨人に3・5ゲーム差、11連敗の2位DeNAに2ゲームと迫った。リーグ全体の貯金が巨人の1だけという異例の状況ではあるが、ペナントレースが熱くなってきた。
マエケンの「よっしゃー!」の叫び声がDeNAのチャンステーマをかき消した。グラブを胸の前で2度、3度たたき、小雨を浴びながらベンチに向かった。最大のピンチは2点リードの8回1死一、二塁。2番荒波を内角直球で見逃し三振、3番梶谷を二ゴロに打ち取った。美しいフォームから、次々に「えぐい球」を繰り出した。
「2点差だったので、いっぱいいっぱいではなかった。1人1人アウトに取るつもりでした。自分をうまくコントロールしながら投げられた」
前回登板から中9日。間隔も空き、序盤から飛ばした。直球は150キロ超を連発。ムダ球を使わない省エネピッチがさえた。慎重に両コーナーに出し入れし、ここ一番では宝刀スライダーを抜いた。9回5安打1失点で今季初完投勝利。5勝目を挙げ、昨季から7連敗中だったビジターで白星をもぎ取った。119球の力投で、節目の球団創設4000勝ももたらした。
「1勝目から積み上げてきたものがある。貢献できたのはうれしいし、光栄です。(節目の)チャンスで僕に回ってくるんですよね。プレッシャーをかけてマウンドに上がっています」
思い返せば、あらゆるシーンにマエケンはいた。入団2年目の08年。旧広島市民球場最終戦で最後の勝ち投手になり、プロ初本塁打まで放った。翌09年には自身のマツダスタジアム初戦で勝ち、チームにも2戦目で新本拠地初白星をささげた。今回も王手をかけて2戦目だ。回ってこなくてもおかしくない状況でも、エースには巡り合わせがある。自身87個目の白星は、広島の歴史に刻まれた。
球宴までに借金完済を目指すチームにとっても、大きな再スタートとなった。緒方監督も「マエケンに尽きる。全部マエケンの記事にしてやってくれ」と拍手を送った。借金はまだ6あるが、セ・リーグは混沌(こんとん)を極め首位巨人まで3・5ゲーム差。下から広島が、マエケンが突き上げる。【池本泰尚】
▼セ・リーグは1位巨人が最近10試合に1勝9敗、2位DeNAが11連敗と上位が失速の結果、1位巨人から6位広島までが3・5ゲーム差の大混戦。全球団が60試合以上消化して1~6位が3・5ゲーム差は73年9月8日のセ・リーグ以来、42年ぶりだ。73年のセ・リーグは、9月1日には1~6位が3ゲーム差だったが、最終的には巨人がV9を達成した。
▼前田が完投で5勝目。完投は今季4度目だが、完投勝利は昨年8月22日阪神戦以来になる。ここまで今季の前田はホームで4勝0敗に対して、ビジターは0勝5敗。昨年8月8日阪神戦から続くビジター連敗を7で止め、ビジターでは13年8月13日、京セラドームの阪神戦以来、2年ぶりの完投勝利となった。



