絶対に諦めん! 広島新井貴浩内野手(38)が天敵の中日八木に意地を見せた。6回2死から八木の真ん中に入ってきた直球を左中間スタンドへと放り込んだ。この日、自身3度目のFA権を取得も「自分には関係ないこと」と封印を宣言。広島魂を胸に残り試合に挑む。

 スイングの反動でぶん投げるのではなく、振り切った後に両手でバットを離した。新井は本塁打を確信しながらも、駆け足でダイヤモンドを1周した。勢いを味方攻撃陣に与えるように、1歩1歩を速足で刻む。6回2死からの1発。チームとして中日八木からは3試合ぶり、4月17日の1回に丸がソロを放って以来の得点だった。豪快な7号ソロに主砲の意地を込めた。

 「とにかくどんどん振っていこうと。いいスイングができました。でも負けてしまったら一緒。八木? それはみんな分かっている。とにかく明日。明日に向けていい準備をしたい」

 シュート回転で入ってくる直球に、シュート、チェンジアップ、緩いスライダーと的が絞れなかった。数字が八木に自信を与え、広島にはネガティブなイメージもあっただろう。2回には1死一、二塁の好機も田中、石原が連続三振。打ってだめならと足を絡めて崩しにいったが、盗塁死に併殺もあった。またやられる…。頭を抱えたコイ党に希望を与える1発だった。

 今季でプロ17年目の38歳。この日、出場選手登録の日数が4年に達し、自身3度目のFA権を取得した。07年に宣言して阪神に移籍。2度目の11年には宣言して阪神に残留を経験した。昨オフは自由契約から広島復帰。そして3度目のFA権取得だ。試合前、今度は豪快に笑い飛ばし宣言の意思がないことを表明した。

 「今、初めて知った。自分には関係ない話。残りの試合、しっかりと優勝目指して頑張っていきたい」

 主砲の言葉が頼もしい。借金は4となったが、緒方監督も「八木? また当たる可能性もある。次、やっつけましょう。6連戦が始まったばかり。これで落ち込んでいてもしょうがない」。下を向く場合ではない。黒田の男気(おとこぎ)に新井の意地。明るい材料を持って残りの戦いに挑む。【池本泰尚】