エースは、決して下を向かなかった。4点のリードをもらった初回。ヤクルト先発の小川泰弘投手(25)は1死満塁とピンチを招いた。大引が、ロペスのゴロをファンブル。思わぬ形で失点し、なおも1死満塁。一打出れば、大量失点の状況でも、小川は笑っていた。倉本を3球三振に切った。次打者のバルディリスも、外角スライダーで遊ゴロ。「(ロジンを触ったりする)無駄な動作を省いて、自分のリズムで投げられたことがよかった」と淡々と料理した。
視界の変化で、局面の集中力を高めた。「気持ちを紛らわすため投球間で観客を見つめるんです。不意の1球ほど怖いものはないですから」とピンチの時こそ、上を向いた。本拠地・神宮球場ではバックネット裏の広告を見つめる。視線をいったん、打者から外すことで、リラックスして勝負に入る。
精神面の安定が好投を呼び込んだ。「1点でしのいだことが大きかった」と2回以降、1度しか得点圏に走者を許さなかった。8回を4安打1失点(自責0)。自身4連勝で、チームトップの8勝目を挙げた。チームの連敗も2でストップ。首位阪神とのゲーム差も、2・5に縮めた。「投げる試合は全部勝つ気持ちでいきたい」と頼もしかった。7戦6勝の山中が負傷離脱した夜、エースが力投した。【栗田尚樹】



