14年ぶり優勝へ、諦めてなどいない。ヤクルト山田哲人内野手(23)が4回、リーグトップを独走する32号2ランで勢いづけた。「トリプルスリー」と「3冠王」も狙える位置にいるが、巨人戦ではこれが今季2本目。ここが勝負どころと踏んで、試合前に異例のミーティングを開いた真中監督の期待に応えた。これで巨人、阪神と続く上位との6連戦の初戦を白星で飾り、2位巨人とのゲーム差を1に縮めた。
絶対に勝つ。熱い思いを秘めて、ヤクルト山田は打席に入った。3点リードの4回2死一塁。巨人2番手・田原誠の、やや内寄りのスライダーを迷わず振り抜いた。「直球を待っていたんですけど、変化球が高めに抜けてきた。いい角度がついてくれたおかげで入ってくれました」。決して易しくはない球を左翼席中段へ運んだ。試合後のクラブハウスでは、衣笠球団社長が「山田君はよく打つね」と満面の笑みで出迎えた。ここ5試合で6発目。勢いの止まらない32号2ランだった。
打ちたい、いや打たなくてはいけない責任を感じていた。試合前、真中監督が選手に熱弁を振るった。練習後の選手をクラブハウス内のウエートルーム場に集めた。通常は三木作戦コーチが音頭を取るミーティング。指揮官自ら声を発した。
真中監督 俺たちは、昨年、一昨年と最下位だった。チャレンジャーな立場に変わりない。相手(巨人)の方が、勝利が絶対だという風に大事な試合になってくる。自分たちは受けて立つ必要などない。思いっきりやればいい。この6連戦、勝っていこう。
静まりかえる室内で、山田が奮い立った。「絶対に勝つという強い気持ちだった」と、指揮官の熱い気持ちに応えてみせた。6回には左翼線への二塁打もマークした。試合前まで、対巨人の個人打撃成績は16戦で打率1割9分4厘、1本塁打と、セ・リーグで最も苦手にしていた。だが「マイナスに受け止めずに」と気迫で上回った。3打数2安打2四球で、5打席中4出塁で勝利に貢献した。
生き残りをかけた一戦をチーム一丸で勝ち取った。山田は「今の状態を少しでも長く、いや最後まで続けていきたい。こういう試合が最後まで出来れば、優勝も見えてくる」と頼もしかった。試合後、真中監督は試合前のミーティングと同じ言葉を並べた。「我々はチャレンジャー。その気になって戦ってほしい」。逆転優勝へ、勝負どころの6連戦でひたすら白星を積み重ねる。【栗田尚樹】



