日本ハムが苦肉の策、代打の「平成のON」が的中したが痛い黒星を喫した。首位ソフトバンクに、敗色濃厚の4点を追う8回。先頭打者の代打大谷の四球を起点に猛攻で1点差とし、なおも1死一、三塁。前夜に右足首負傷で先発から外れた中田が代打ではプロ初の適時打を放ち、同点に追いついた。この回に一挙4点を奪ったが、その裏に勝ち越し点を献上。再び9・5ゲーム差に広がり、追撃ムードが消沈した。

 スーパー勝負手で追い詰めたが、後ろ髪ひかれた。重い1敗になった。栗山英樹監督(54)は、アドレナリン全開で局面を打開したが、あと1歩が遠かった。少し間(ま)を置き、自問自答した。

 「すみません。結果がすべて。選手たちが、よく頑張って追い付いた。でも、それじゃいけない時期なんだよね」

 前夜に右足首をひねった中田がスタメンから外れた手負いの布陣で善戦も、気持ちの整理は困難だった。

 完全な負けパターンから一瞬、押し戻した。4点ビハインドの8回の先頭。代打大谷を投入し、流れを激変させた。バットを1度も振らずに四球。栗山監督の狙いは、当たった。「アイツの持っているモノにかけたい」。2番手森が制球を乱し、反撃のきっかけをつくった。打ち気にはやる場面。大谷も「ボール球しかこなかった」と心を静め、見極めた。

 逆転劇へ向かう、種火はできた。四球に適時打2本を含む3安打で、1点差に。守護神サファテを引きずりだした。なおも1死一、三塁。矢野に代え、ジョーカー中田を送った。剛球を捉え、左前へ同点打を放つ。「つないでくれて打席に立たせてもらったので、何とかしたかった」。代打での安打は6年ぶり、適時打はプロ8年目で初。プレミアムな快音を奏でたが、報われず。なお1死一、三塁の勝ち越し機でレアード、佐藤賢の連続空振り三振が致命傷だった。

 出だしから主砲を欠くチーム状況は危機的な一戦。最高の局面で、代打で「平成のON」が機能したが、8回に決勝点を奪われた。押し切られた。栗山監督は、自分に言い聞かせた。

 「すべてが悪いわけじゃない。でも、振り向いてもしょうがない」

 もくろんでいた今カード3連戦3連勝を、逃した。今日30日も、中田は先発から外れることが濃厚だ。厳しく、険しい高い壁に、もう1度挑む。ソフトバンクと現状の戦力、知力を尽くし戦い抜く。【高山通史】