混セ3強が、0・5差に大接近だ。巨人大竹寛投手(32)がDeNA打線を7回3安打無失点に抑える好投で、チームを3連勝に導いた。昨季に広島からFA移籍したが9月に右肩違和感で離脱。今年こそ優勝の輪に戦力として加わるべく、8月下旬から2連勝と存在感を示し始めた。ヤクルトが引き分け、阪神が敗れ、順位は3位のままながら、首位ヤクルトを0・5ゲーム差に捉えた。勝ち数はトップの66勝だ。

 投げ終わるたびに、跳びはねた。絶対に取りこぼせない、下位DeNA戦。大竹が思い切り腕を振った。速球で鳴らした若かりしころをほうふつとさせる躍動感で、直球は140キロ台後半をマーク。1発同点の7回2死では、ロペスを直球と同じ腕の振りのカーブで空振り三振に仕留め、こぶしを強く握った。「ここまで来たら自分の全てを出し切る気持ちで臨んだ。しっかり投げ切れた」と、全身全霊の90球を振り返った。

 懸ける思いがある。昨季に広島からFAで加入したが、9月には右肩違和感で離脱。終盤に登板はなく、リーグ3連覇の輪の中心に加われなかった。今年は序盤から2軍暮らし。練習漬けの日々で手にしたのは、修正したフォームだけではない。「自分を見つめ直せた」と内面と向き合った。

 何をしに、巨人に来たのか。「自分から望んで来た場所。自分の全てを出し切って、絶対に優勝したい。自分を信じて、やってきたことを信じてやるだけ」。覇権を争う緊張感に身を投じて、勝利をもたらしたい。原点を再認識し、8月に1軍に帰ってきた。

 首位と1ゲーム差の、だんご状態で迎えたマウンド。「次の登板が約束された立場ではない」。己を知るから、1球1球が必死だった。ゾーンの四隅を丁寧に突き、無駄球は一切なし。勝敗が未来を左右する重い空気の中、チームを3連勝に導いた。原監督も「安定感がありましたね。(前回より)さらに上乗せした感じ」と言った。今、間違いなく信頼を得ている。

 前日のDeNA戦。原監督は「風を変えたい」と試合の流れを読み切り、逆転勝ちを収めた。そして、この日。大竹が7回3安打無失点での自身2連勝。ジャイアンツに吹き始めた追い風を、さらに強くした。「去年の悔しさもある。今こそ、という時期。全てを出し切ってチームのためにやりたい」。しびれるマウンドは、願ったりかなったり。逆転4連覇に向け、思いの丈を込めていく。【浜本卓也】