背番号0が飛んできた。2点リードの9回2死二塁。センターへ抜ける適時打かと思われた打球を阪神セカンド大和内野手(27)がダイビングキャッチ。素早く一塁へ投げ、ゲームセットのアウトを取った。シーズン終盤、勝負どころでのスクイズ失敗など悔しい思いをした大和が、一世一代の美技で輝いた。
センター前に抜けた…。誰もがそう思ったに違いない。だが大和は獲物を仕留めるヒョウのごとく、驚異の身体能力で横っ跳びキャッチしていた。すぐさま起き上がると弾丸のクイックスロー。間一髪、打者長野を一塁で刺し切った。ゲームセットは人間離れした神業。マウンドの福原は大和に向けて両手を横に広げるセーフのポーズをつくり、“救われた”と喜んだ。守備のMVPはみんなに頭をはたかれ、もみくちゃだ。
大和 1点も取られたくなかったので、アウトを取るよりも、止めることを意識していました。一塁は正直、微妙やったけど、アウトにできてよかったです。
2点リードの9回。表の攻撃で代走出場し、二盗も決めた背番号0がその裏から二塁守備固めを任された。場面は2死二塁で、長野の打球が抜けていれば1点差。止めても内野安打で一、三塁とされ、サヨナラ終戦のピンチが広がっていた。虎の将も大興奮だった。
和田監督 ビッグプレーというかスーパープレーだよ。捕るだけでも、というところでそこから刺した。あれは大和にしかできないプレー。本当に助かった。
悔しく、少しでも借りを返したい思いでいっぱいだった。首位攻防だった9月21日ヤクルト戦(甲子園)。同点の6回1死満塁でのスクイズ失敗が敗因となり、2差をつけられ自力Vが消えた。翌22日の巨人戦は2回に1死満塁で空振り三振。チームの大失速と重なる急降下のまま15年が終わろうとしていた。
力をくれたのは2カ月の長男だった。8月9日に夫人が第1子を出産。どんなにつらい思いをしても、また頑張るぞと思わせてくれる存在になった。「帰って寝顔を見てたら、悩みが吹き飛ぶんですよ」。失敗の連続でもヘコたれるわけにはいかない。上本の復帰で再びベンチスタートになっても闘志は熱いまま。球際の執念で白星をつかんだ。
大和 たまたま(グラブに)入った感じ。でも明日につながるといいですね。
超攻撃的な守備で逆王手をかけ、チームは一気に勢いづいた。運命の第3戦も静かに牙を研ぎ、ファイナルステージ進出を決める仕事を待つ。【松井清員】



