巨人坂本勇人内野手(26)が、セ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦で逆転2ランを放ち、1勝1敗のタイに持ち込んだ。1点を追う5回1死二塁、ヤクルト石川から左翼席にアーチをかけ、劣勢を一気にひっくり返した。阪神とのCSファーストステージ第3戦では、執念のヘッドスライディングでナインを鼓舞。この日は豪快な1発で、チームを逆襲の軌道に乗せた。
殊勲の1発でも、極限の集中力が場面の記憶を頭からスッと飛ばせた。敵地・神宮でのヒーローインタビュー。いつもはよどみなく言葉を並べる坂本が、一瞬止まった。「内海さんが粘り強い投球を続けていたので、何とか…。先制点でしたっけ? 逆転でしたっけ? いいところで打てて良かったです」。歓声が消え、視界が投手一点に定まる「無心」の状態が訪れた証しだった。
ここぞの場面で“ゾーン”に入った。1点を追う5回1死二塁、カウント3-1から、高めに浮いたのは「頭にはあった」シンカーだった。コマのように体を鋭く回転させる、“ザ・坂本”のフルスイング。「久しぶりに気持ちのいい、会心の当たり」放物線は、オレンジ色に染まった左翼席で弾んだ。
今季は打率3割を目標に掲げながら、2割6分9厘で届かず。本塁打、打点、盗塁、何1つ満足する数字はなかった。それでも、ポストシーズンを前に、余計な悩みや不安は心の中から一切排除した。
坂本 考えたって、仕方ないなと。CSや日本シリーズで大事なのは勝つこと。それが、内野ゴロ、四球やバントであっても、いいんです。やっぱり、勝ちたいですから。
12日のCSファーストステージ第3戦ではクールな主将には珍しく、頭から豪快に突っ込み、試合を決定付ける3点目を奪った。前日13日の全体練習は、首の張りで大事を取る形で別メニュー調整。「大丈夫なので(試合に)出てます」と笑ったが、7回2死二、三塁ではライナーをつかみ、右手でガッツポーズを連発。体中から気迫があふれ出た。
昨年の悔しさを忘れたことはなかった。リーグ3連覇を達成しながら、CSファイナルステージで4連敗。一塁側ベンチからぼうぜんと見つめた阪神ベンチは、今もなお脳裏に残る。ファーストステージで阪神に雪辱を果たしても、満足できるはずがなかった。「もっと厳しい戦いが続く。日本シリーズにいけるように頑張ります」。今日もまた、主将が勝利への執念を体現する。【久保賢吾】
▼坂本が5回に逆転2ラン。CSで巨人選手の逆転本塁打は、08年2S第2戦小笠原、同年2S第3戦李承■に次いで7年ぶり3本目だ。坂本の本塁打は14年ファイナルS第4戦以来4本目で、巨人では阿部に並び最多。1本目の10年1S第1戦が同点、2本目の13年ファイナルS第1戦が同点と、坂本は4本のうち3本が肩書付きの1発だが、勝利打点付きのVアーチは初めてになる。
※■は火ヘンに華



