巨人杉内俊哉投手(35)が10日、都内で契約更改交渉を行い、今季年俸5億円から5000万円プラス出来高でサインした。10月1日に右股関節を手術して来季開幕は間に合わず、自ら年俸の減額を申し出た。減額幅の4億5000万円ダウンは、日本球界で過去最高額。ソフトバンクからFA移籍し、今季で4年契約が終了。90%減の単年契約で復活を期す。(金額は推定)

 長い球史で例のない「4億5000万円の減額申し出」に、杉内の覚悟が詰まっていた。10月に手術した右股関節の回復は順調。車いすの助けなく交渉に臨んだ。しかし、会見場に姿を見せ、壇上に上がるまでには至っていなかった。謝罪。見通し。減額の経緯。丁寧なコメントで説明した。

 「球団やチームメートに迷惑を掛け、かつファンの皆さまのご期待を裏切ってしまったことを、心より申し訳なく思っております」

 「手術は無事に成功し、経過も大変順調です。感触としては、来年のキャンプイン初日からブルペン入りできるのでは、と思えるほどです。来年後半には戦列に復帰して、高橋由伸新監督の下、ペナント奪回の大切な時期に戦力として活躍できるよう、努力してまいりたいと思います」

 「私から球団にお願いし、来年度については基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました。協約で定める減額制限(1億円超は40%)のために、球団の編成に制約が出てしまうのは不本意ですし、出来高という目標を作っていただいた方がやりがいも高まります」

 来季で36歳。長い道のりを選んだ。本人はもちろん、球団にとっても重い決断だった。堤GMは「難しい手術。復帰してローテを守れる確約はない。『もう1度ドームのマウンドに立ちたい。野球生命をかける』と。じゃあ、とゴーサインを出した」と説明。出来高のハードルは「期待値が高い。彼は18番」と加えた。

 分かっている。「巨人軍の背番号18に恥じないピッチングをお見せしていけるよう、頑張っていきたい」と結ばれていた。12年5月30日、東京ドームの楽天戦。完全試合まであと1球のノーヒットノーランで「巨人の18番は杉内俊哉」を知らしめた。絶対に戻る。【宮下敬至】

 ▼杉内が4億5000万円ダウンで契約更改。減給額は13年小笠原(巨人)の3億6000万円を上回る史上最大。減給率90%も、移籍を伴わない同一球団の契約では03年伊藤(ヤクルト)の88%を上回る最大となった。杉内は今季の年俸ランキング(外国人選手を除く)で阿部(巨人=5億1000万円)に次ぐ2位だったが、これで来季は一気に100位以下となる見通しだ。