恩返しは結果でする。楽天嶋基宏捕手(31)が19日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、1000万円減の1億1000万円(金額は推定)でサインした。今季は肋骨(ろっこつ)骨折などで規定打席に達せず、チームも2年連続の最下位と低迷。苦難の1年となったが、“楽天愛”を貫いて保有する海外FA権を行使せずに残留を決めた。震災から5年、そして自らもプロ10年目を迎える来季に、数字を残すと意気込んだ。
言葉の端々ににじんだのは使命感だった。嶋は会見の席に着くと、少し険しい表情を浮かべた。「もう1度野球と向き合ってやっていきたい」。13年の日本一から2年連続最下位の屈辱。監督が1年おきに交代するなど、どこか落ち着かない近年を振り返ると、楽観的に意気込むのは難しかった。「いろいろな経験をできたのはよかった。苦しい時にどういう風に乗り越えるのかとか」と前向きなコメントの裏にキャプテンとしての苦悩が透けた。
覚悟を数字に置き換えた。10年目を迎えるシーズンへ、初めて目標を明確に表した。「チーム防御率は3点台前半、打率は3割、得点圏打率は3割5分、50打点くらいいければ、下位打線にいたらイヤらしいと思う」と自らを分析。数字を残せばチームの上位進出につながると話した。
これまで個人成績を具体的に述べることはしなかった。しかし、決めた。「席で思いついただけ」とうそぶいたが、こうも続けた。「ここ何年も数字を立てずにダメだった。こだわっていきたい。一緒のことをやっても同じ成績しか出ない」と自らに重圧をかけた。海外FA権を使わずに残留を決めたのも、愛する東北のファンへの恩返しができていないと痛感したから。チームを引っ張らなくてはならない立場として、これ以上、ふがいない姿を見せる訳にはいかなかった。
来季は梨田新監督の下、チームは巻き返しを目指す。「(侍ジャパンで)秋のキャンプは行けなかった。でも報道で見ると、すごく明るくてやりやすい雰囲気だった」と再スタートの年になると確信を持っている。星野副会長も球団に大きな影響を持ち、雰囲気は変わってきた。「震災から5年ですし、僕も10年目という節目。2013年の喜びをもう1度という風に思います」。あのスピーチから5年。16年、嶋基宏が底力を見せる。【島根純】



