阪神ドラフト1位高山俊外野手(22=明大)が社会人として満点デビューした。12球団の新人選手研修会が12日、東京都内のホテルで行われた。模擬インタビューに臨んだ高山は講師を務めた元ニッポン放送アナウンサーの深沢弘氏(80)にあいさつに出向き、「10年近くやって初めて」とうならせた。礼儀礼節を重んじながら、プロの世界でどこまでも大人になる。

 ルーキーが一堂に会する会場で、高山がただ1人、ひっそりと、格の違いを見せつけた。インタビュー対応講義終了後の休憩時間。ソフトバンク高橋、楽天オコエ、中日小笠原。高山と同じく模擬インタビューを受けた3人の高卒新人が安堵(あんど)の表情を浮かべる中、講師の深沢氏の前に立ち、深々と頭を下げていた。

 深沢氏は「終わって山本昌広の話を聞こうと思って、座っていたの。彼が俺のところに来るんだよね」と驚きの表情でそのシーンを振り返った。「ちょっと声が小さいかな」などとダメ出しされたホロ苦の模擬インタビュー後だ。それでも高山ははっきりと「今日はありがとうございました」と礼を述べた。この礼儀正しさは、80歳のベテランアナウンサーを「10年くらいやっているけど初めてだよね。そんなこと今までなかった。なんとまあきちんとした青年だろう」とうならせた。数々のプロ新人を見届けてきた深沢氏を感心させた大人の神対応。当人は涼しげな表情で話した。

 「別に特別な行動をとったという感覚は全然ないです。普通に取った行動なんですけど、そう言っていただけるのはいいことじゃないかなと思います」

 高山の姿勢は自然と、金本野球のモットーを体現していた。昨年の11月1日。新任の金本監督は高知・安芸キャンプ初日に、あいさつの重要性を選手に説いていた。同日中に返事を怠ってしまった育成の田面に「返事!」と大きなカミナリを落とすなど、基本の徹底を重んじる。それだけに背番号9の対応に指揮官も丸印だろう。

 研修会での収穫は大きかった。元中日山本昌広氏の45分間の講義に集中力を切らさず、食い入るように耳を傾けた。昨年10月末に右手有鉤(ゆうこう)骨骨折手術を受け、完治していない状況だけに「僕もけがをしていたので心に響いた。2度とけがを繰り返さないように、このけがを最後に出来るように、長くやっていきたい」と言い聞かせた。

 最後には苦笑しながら「直します。大きい声で」と模擬インタビューの受け答えを反省した。それでも社会人として「いろはのい」の礼儀は、ぶっちぎりで新人王クラス。この即戦力ぶり、これから野球でも発揮する。【梶本長之】