内野手もストライクが命! 阪神内野陣が18日、沖縄・宜野座キャンプで新たな本塁送球特訓を受けた。外国人を除く内野手9人が、2組に分かれてサブグラウンドに集結。計1時間にわたって本塁送球練習を繰り返した。虎番・佐井陽介はこのメニューに注目。今季から導入される新ルールとの関連性を探った。

 素早くフワッと投げて、ストライクを奪う-。昼下がりのサブグラウンド。地味ながら目新しい守備練習が行われていた。

 鳥谷に西岡、上本…。内野手が三塁と遊撃に分かれ、前進守備隊形に就く。ボテボテのゴロを、そんきょ姿勢の捕手役に返球する。ただし、ビシッとではなく、フワッと…だ。最後は全員がストライク送球できるまで終われないルールを適用。「今のは入ってるでしょ!」「これはダメ!」。突っ込みあり、笑いありの練習には重要な意味が隠されていた。

 「ブロックできないんだから高く浮いたらセーフ。三塁側にそれても捕手は足を出せず、タッチにいくしかできない。捕手のベルトから膝付近に投げてもらわないといけないから」

 かつての遊撃名手、久慈内野守備走塁コーチは苦笑いで頭を悩ませていた。今季から本塁での危険な衝突を避けるため、捕手はブロックで走者の走路を防ぐことが禁止される。捕手はあらかじめ本塁ベースの前に立ち、送球を待たなければならなくなった。このコリジョン(衝突)ルール採用によって、内野手の制球力が今まで以上にクローズアップされることになりそうだ。

 昨季までなら送球が高低左右にそれても、捕手のブロックが効けばタッチアウトに持っていける可能性は十分あった。この多少のズレが今季から通用しなくなる。久慈コーチは際どいタイミングの内野ゴロなら「どのチームも絶対に走ってくる」と警戒。そこで「フワッとストライク」練習をメニューに取り入れた。

 「ビュッと投げるより、フワッと投げる方が難しいんだよ。引っかけたり、抜けることもあるから」

 なぜ、あえて緩い送球なのか? 疑問に答えてくれたのは平田チーフ兼守備走塁コーチだ。そう、実は緩いボールを正確に投げるのは至難の業。きちんと足を使って正しいフォームで投げなければ、送球にズレが生じる。いかに本番でビシッとストライクを投げるか。改正ルール対策として、緩い本塁送球練習を選んだわけだ。

 新メニュー終了後、今成は「速く正確に、ということです」と納得。「ボールがそれたら捕手が危ないですからね」と、あらためて気を引き締めた。確かに三塁側に送球がそれた場合、捕手は足を動かせずミットだけでタッチに行き、走者の勢いで左肩を流されてしまう危険性も否定できない。失点を減らす意味でも、味方捕手を守る意味でも、16年は「内野手のストライク率」がV奪回のカギを握るかもしれない。

 ◆公認野球規則の改正 今季から本塁での危険な衝突を避けるための規定が、公認野球規則に追加される。「得点しようとしている走者は最初から捕手に接触しようとして(中略)走路から外れることはできない…」「捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判員が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する」などが明記される。リプレー映像の使用を、本塁上でのクロスプレーでも適用する。