阪神ランディ・メッセンジャー投手(34)が8回7安打1失点で今季初勝利を手にした。4回2死満塁で右前に適時打。押し出し四球と勘違いするハプニングの直後、仕切り直して走者2人をかえした。開幕投手が三度目の正直で白星をつかみ、巨人戦通算10勝目とした。

 感情があふれ出る。メッセンジャーは打席を飛び出し、何度もガッツポーズをしながら一塁へと走りだした。なのに球場がざわつく。ちょうど塁間の半分を過ぎたあたりで、ようやくことを理解した。ちょっぴり恥ずかしい早とちり。それでも、右腕の勝利への執念が垣間見えた。

 「ファウルで粘り過ぎて、カウントを忘れてしまったよ(笑い)。結果的に点が取れて良かった」

 4回、福留の2ランで先制し、なお2死満塁。カウントは2-2だった。恥ずかしそうに打席へと戻り、フルカウントから仕切り直し。果敢に打って出て右前へ運んだ。今度こそ正真正銘。自らのバットで2点をたたきだし、まるで日本人のように一塁上で大きくほえた。

 「自分は外国人だ。だからなんだって言うんだ?」

 3月17日。2軍施設の鳴尾浜で開幕へ向け調整を行っていた。キャッチボールとダッシュを終え、この日の練習は終了…。のはずだったが、おもむろにブルペンへと足を運んだ。すると、ドラフト4位ルーキー望月らに身ぶり手ぶりを交え、指導を始めた。「若手を教えることに外国人だとか、そんなことは関係ないだろ? 日本で野球をやっている時は、いつでも日本人だ。俺も日本に来てもう長い。若手に教えるのも悪くないだろ」。マウンドさばき、立ち居振る舞い。日本で学んできたもの全てを若虎に伝えた。

 久保2軍投手コーチも「彼のような選手が、教えてくれるのは非常に助かる。若手に与えてくれる影響は大きい」。背番号54は今だけを見ていない。未来のタイガースにも財産を残そうとしている。

 「1勝目がなければ2勝目もない。気持ち的に楽になる」。投げては8回7安打1失点。満身の118球で、開幕戦から三度目の正直で今季初勝利を挙げた。チームも昨年2勝11敗と苦しんだ東京ドームで早くも2勝目。宿敵との初3連戦に勝ち越した。生まれ変わった虎の中心には「サムライ魂」を持った助っ人右腕がいる。【梶本長之】