先輩の意地が勝った。阪神江越大賀外野手(23)が6回、DeNAのドラフト1位の今永から右越えに決勝二塁打を放った。駒大の1年後輩左腕に2打席連続三振していたうっぷんを一振りで晴らした。堂々と3番を張る2年目スラッガーに金本監督も「成長がみられる」とにんまり。チームは2連勝。巨人を抜き広島と同率首位に再浮上した。
憧れた大歓声を独り占めにした。同点の6回1死一、三塁。江越に打席が回った。DeNA今永が投じた外角高めの直球を一閃(いっせん)。右翼フェンスを直撃する決勝二塁打だ。
「相手が誰であろうと、もちろん打ちたいのは常にそう思ってるんですけど、特に、大学の後輩ということで、やったりました!」
お立ち台で叫んだように、このまま終わるわけにはいかなかった。駒大4年時には、4番江越とエース今永が原動力となって明治神宮大会を制覇。その1学年下の後輩に、2打席連続三振に抑え込まれていた。先輩の意地をかけて臨んだ第3打席。追い込まれ、バットを短く持った。「前の2打席の過程もあって」。後輩打ちの喜びが二塁上でのガッツポーズに表れた。7試合連続安打、打率も4割4分。普段は手厳しい金本監督も「2ストライクに追い込まれて。球は甘かったけど工夫で、対応できたということ。それは江越の成長でしょう」と称賛した。
プロでの礎を築いた大学時代。猛虎と不思議な縁があった。
「メッセンジャーが投げていた試合ですね。これが阪神なんだと思いました」
13年3月29日。江越は野球部の紹介で、神宮球場で清掃アルバイトをすることになった。ヤクルト-阪神の開幕戦だった。担当ブロックは左翼席。真っ黄色に染まったスタンドで、清掃員の服装で試合を見届けた。
その試合は阪神が大勝。勝利に沸き、六甲おろしが流れる中、黙々と足もとに落ちているゴミを拾ったという。「ファンの応援がすごすぎて覚えてますね」。あれから3年。左翼スタンドから見たメッセンジャーとヒーローインタビューを受け、甲子園の大歓声を浴びた。「まだ自分自身レギュラーだと思ってないんで。試合に出られるだけでありがたいですし、1試合1試合集中して、アピールできればいいなと思います」。結果を出し続け、今度は自分自身が憧れの的になる。【梶本長之】



