阪神掛布雅之2軍監督(62)が28日、ウエスタン・リーグの広島戦(甲子園)でラスト采配を振るい、退任した。試合後に記者会見を開き、2年間の2軍監督生活を総括した。
-今の心境は
掛布2軍監督 そうですね、意外にすっきりしております。はい、やりきった感ということではないんですけれども、あの2年間で自分が出来ることは出来たのかなという。そういう満足してる部分ともう少し時間があればまた違うその形の物を作ることが出来たのかなと。それが半々ですかね。だから今はやりきった感のほうが強いですよね。
-花束をもらって
掛布2軍監督 望月に関しては、彼も今年腰のけがでですね、いろいろ出遅れた部分があって、後半投げてもなかなかいい結果が出なかった時に、僕はピッチャーで初めて望月のことを怒ったんですね。「いやいや、そんなにチャンスはないよ」と。その望月がやはり将来、阪神のローテーションの一角を取れるぐらいのピッチャーだと思っておりますんで、そういう期待をしている2人のピッチャーと野手からですね、花束を受け取ったというのは2軍監督としては非常にこう、うれしいものがありましたね。
-声を掛けていたが
掛布2軍監督 望月に関しては「ちゃんとやりなさいよ」と。まあお父さんとかおじいちゃんが声を掛けるようなもんですね、孫に(笑)。
-その後選手達とお話しされてどんな思いが
掛布2軍監督 いろいろ2年間やったことを思い出してましたね。あのー、皆さんからすると2年というのはかなり長く感じるかとは思いますけども、野球の世界にいますと1年の時間が非常に早く感じる世界で。その中で若い選手たちが結果を求められるものですから、その中で若い選手と一緒にやってきた、そういう準備の野球というものをですね。ちょっと自分なりにいろいろ思い出しながら、選手と1人1人握手させてもらいましたね、はい。
-メンバー交換の時から拍手、背番号31のユニホームもかなりあった
掛布2軍監督 ですから、ファンの方の目が選手を育てると僕は思っておりますんで、鳴尾浜にしても甲子園にしてもですね、連日大勢のファンが足を運んでくれて、2軍の野球というものを見てくれる。そして我々に素晴らしい舞台を作ってくれるのはファンの目ですから。その目があったから選手が育ったと思うんですね。だから我々のその手助けよりもファンの目のパワーのほうがですね、選手を育てると思いますんで。私はここで1回引きますけども、これからもファンの方には球場に足を運んでですね、若い選手の野球というものを厳しく、そして温かく見守ってもらいたいですね。
-掛布コールも最後出ましたが
掛布2軍監督 あーもう、これは現役時代を思い出しました。ちょっと背中がぞくぞくっとするようなですね。左バッターボックスに入ったような(笑)気持ちになったんですけども、なんとも言えない掛布コールという、間っていうのかなあ。現役時代をほんと思い出しましたね。もっと熱いコールだったんだと思うんですけど、ええ。非常にこういい物ですね、はい。
-胴上げの要請があったが
掛布2軍監督 胴上げありました。ただ、あのー、僕もこの年ですから現役やめる時に、ベンチ前でチームメートに胴上げされたんですけども、それでもういいと思うんですよ、ええ。胴上げってのは勝者がするものだと思いますんで。僕はもう去っていく人間ですから。あそこでサードベースで、選手たちが胴上げをしたいということを言ってたらしいんですけど、これはもう選手には非常に感謝はしているんですけども、僕自身の気持ちがやっぱり胴上げをされる身ではないなと。そういう思いの方が強かったんで。選手にはほんとに申し訳なかったんですけども、足をそこまで運ぶことは出来ませんでした、はい。
-最初から決めていた
掛布2軍監督 決めてました。狩野が昨日やめましてね、引退しまして狩野はもう胴上げするからって、俺は絶対もう胴上げしなくていいからって、そんなのしなくていいから、そんな気にしないでと。なんかこう照れとかそういうことじゃなくて、胴上げってのは、やっぱりあのセパ両リーグが優勝した時の、優勝監督が胴上げされる、あの美学ですよね。それと選手が引退する時に、最後のグラウンドとのお別れの、昨日の狩野のようなそういう胴上げっていうのは僕はいいと思うんですけど、僕がされる立場では、立場的に違うんじゃないかなと。最初から思っておりましたんで。僕の中でも「絶対させない」と。かたくなに。
-スタンドのお客さんは見たかったかと
掛布2軍監督 いやいやいやいやいやいや(笑)それはあの掛布コールで十分で、感謝しておりますので
-選手の方と言葉は
掛布2軍監督 それはまだないですね。これはもう十分2年間で日々あいさつをかわしながら、なるべく選手の目を見て声を掛けていこうという気持ちで2年間やっていましたんで、今日特別選手に声を掛けるっていうのもおかしな話で、日々声を掛けておりますので。今日だから特別に何かをしたっていうことは、僕朝から無いんですよ。同じようなコーチミーティングをしてグラウンドに出て。僕はあまりグラウンドで選手に対して話しませんので、チーフコーチの古屋コーチに話して、僕はほとんど選手と話しませんので。昨日だけですね、「甲子園で狩野の最後のゲームだから、いいゲームをしようじゃないか」と。今日に関しては2017年のファームの最終戦なんで、最終戦をきれいに終わらせようという、この2試合はお前らにとってすごい大切なゲームだよっていうのは昨日言わせてもらいましたんで、今日は改めて選手たちに声を掛けたっていうことはありません、ええ。
-16点、藤浪も好投
掛布2軍監督 1番うれしかったのは藤浪の投げるバランスフォームがすごく良かったなという印象が非常に強いんですよ。変にこうボールがぶれることもありませんでしたし、抜け球も非常に少なかったんで。あの時ですから、藤浪と握手した時に「今日は良かったな」と。そしたら藤浪は非常にいい笑顔をしてましたんで。なんかこうきっかけなり手応えを今日のピッチングで感じてくれればなと。また本人も感じてるかもしれませんね。
-選手の気持ちも感じた
掛布2軍監督 そうですね、普段日頃ああやって打てよって言いたいんですけど(笑)。今岡コーチに言ってました。「こんな打たなくていいんだよ。日頃打っとけよ」って(笑)
-2年間あっという間だったか、年月通りだったか
掛布2軍監督 時間はやっぱり早かったですねえ。ですからちょっと選手たちには申し訳ないなという気持ちも僕あるんですけども、一応2年という契約で球団に入ったものですから、それに対して僕はどうのこうの言う立場ではありませんので。次の指導者の方にバトンを託しましてですね、やっぱりいいファーム、いい1軍という形のチームを作っていただいて、その日本一になる、やっぱり広島のように時代を作っていかなければいけないんじゃないですかね、ある程度。そのために頑張ってもらいたいなという気がします。
-1番の思い出は
掛布2軍監督 それはもう先ほども言いましたけど、狩野が巨人戦で打ってくれた「掛布に恥をかかせたくない」というですね、あのホームランと。原口のあのユニホームが間に合わずにですね、打席に立った姿っていうのは、忘れられないですね。それと北條だとか、その高山にしてもですね、初めて阪神に来て手首の状態が悪くてファームスタートだったんですけど、彼の安芸のメイングラウンドでランチ特打をやらせた時の彼のバッティングは、目を閉じると思い出すくらい僕にとって衝撃を与えるようなバッティングをしましたからね。あの高山の安芸のランチ、初めての屋外でのですねランチ特打の高山、これも強烈に僕は印象に残ってますね、ええ。
-1軍に数多く選手を送って「掛布マジック」という言葉も
掛布2軍監督 先ほども話しましたけども、僕はもう60で2軍監督受けましたんで、本当に子ども以下、下手したら孫の世代の選手たちと一緒に野球やるということですので、今の時代と我々のやった時代というのは全くこう時代が違いますので、選手に変われというよりも、僕たちがある程度変わっていってやらなければいけない部分があるのかなと。僕らが距離を縮めてあげなきゃいけない部分があるのかなと。その中で変えてはいけない、やっぱり野球という幹みたいなものがあると思うんですね。それは変える必要はないと思うんですけど。僕らが変われる部分っていうのは、変わって選手達の距離感をつめてあげるということがすごく、大切なのかなっていうのはすごくこの2年間で感じてましたね。
-伊藤隼ら1軍で結果を出しているのをどのように見ている
掛布2軍監督 ただ、これねえ継続しなきゃいけないと思うんで、1軍に上がってまた北條だとかも2軍に落ちてきたりだとか、大山もちょっと成績が伸び悩んだりだとかですね、そういう部分を感じますんで。もうちょっと1軍に定着してある程度1軍の監督、コーチを満足させる数字という結果をですね、出さなければ1軍で勝負できないと思いますんで、まだまだこれからが若い選手の勝負だし、やらなければいけないことはいっぱいあると思いますね。
-成果もあった
掛布2軍監督 これは「1人に強くなれ」と言ったんですよ僕は。打席の中では誰も助けてくれない、と。僕もサードを守っていて、サードの前に飛んでくれば、僕が取って僕が処理をしなければいけないわけですから。練習の時は手助けする我々がいますけれども、ゲームになると1人で全てのプレーを終了させなきゃいけないことが多々、多々っていうかそれがほとんどですよね。連携することもありますけども、だからたむろして練習したりするのは、非常に今の子どもたちは多分するんですよ。群れを成すんですね。でも野球って群れを成してやっているようですけど、やっぱり1人1人個々のプレーの集合体なんですよ、だから群れを成すんじゃなくて、群れを成す前に「1人に強くなれ」っていうことを僕はずっと言い続けましたんで、そういう部分では24時間の使い方の中で、1人でやる準備を10分でも20分でもいいから、持ってそれを継続出来るようになる選手になると、1軍で通用するような野球が出来ると思うよということを言い続けましたので、だいぶ1人に強くなってきてるんじゃないですかね。
-大事にしたことは
掛布2軍監督 やっぱり自分で何かを解決していかないといけないことって、皆さんも一緒だと思うんですけど、そういう意味では自分1人でやらなければいけない、野球の準備ってあると思うんですね。チーム全体でやらなければいけない準備は当然大切なんですけども、そのために自分がやらなければいけないことを、大切にしなさいっていうことはずっと言い続けましたんで。
-改めてどんな2年間だったか
掛布2軍監督 うーん、そうですね、非常に日々課題というものを感じながら球場に足を運んでましたし、非常にワクワクする部分もありましたけれども、なぜ出来ないんだというですね、そういう選手に対して、出来るだろーっていう歯がゆさみたいなものも感じましたけども。その時は僕自身もすごく失敗してるんですよね、野球の中で。失敗の数と言ったら半端無いわけですよ僕でも。それはやっぱり自分に言い聞かせました。そういう意味ではすごく我慢をした2年だったかもしれませんけど、非常に強い若い選手に刺激も与えられましたので、非常に楽しい刺激的な2年間だったと思います。
-これからやりたいことは
掛布2軍監督 それはもう無いです無いです。やっぱり常に野球の現場の近くにいると思いますので、そういう意味では野球とはそんな離れられるものでは無いと思いますんで、ゆっくり出来るのは野球がそばにいる時なんじゃないですかね。ですからそういう意味ではこれから厳しい戦いがまだ1軍は続いていきますけども、そういう野球というものを見ながら自分の2年間の反省をしてるんじゃないでしょうか、はい。
-ファンにメッセージを
掛布2軍監督 ファンの方には、先ほども言いましたけれども素晴らしい舞台を、球場に足を運んで作ってくれましたんで、それによって選手が成長したと思っておりますんで、この2年間の声援に対して本当にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
-2軍監督就任時に「31」を着ける選手が出てきてほしいと言っていた
掛布2軍監督 僕はやっぱり2年では、そういう選手っていうのは見つからなかった、育てることはできませんでしたよね、ええ。
-今後は出てくる可能性は
掛布2軍監督 可能性があると思いますし、是非そういう選手が付けて、頑張ってくれるっていうのは、すごいいいことだと思いますね、素晴らしいことだと思います。
-選手時代と違うプレッシャーは
掛布2軍監督 2軍の監督ですからね、勝負に対するこだわりっていうのは当然持たなきゃやってられませんけども、それ以上に若い選手の育成というものに対する思いの方が強い部分がありますので、現役の頃の野球っていうのは、勝った負けたっていうものが連続してるわけですから、全てそのチームの勝敗だとかを背負わなきゃいけない立場で、いろいろ野球やってましたので、全くその、感じるプレッシャーっていうのはどちらも重くのしかかって感じるものだと思いますけども、全く別物ですね、自分がやるわけではありませんので。
-次の指導者に継続されていく
掛布2軍監督 それはもう球団フロントが話すべきであって僕がどうのこうの言うことじゃないんで、
-2年間振り返って自己採点は
掛布2軍監督 それはもう31点っていうことで(笑)100分の31でお願いします。
-今後オーナー付きアドバイザーに
掛布2軍監督 まだね、ちょっとあまり詳しくは聞いてないんですよ。これからです。
-新しい仕事で大変
掛布2軍監督 どういう…まだはっきり聞いてませんので、それはもう球団と時間がありますので話をして結論を出したらいいかなと思っています。
-前向きに
掛布2軍監督 それは前向きに考えますし、どういうことをどういう形でやるのかってまだ話全く聞いてませんのでね、これから自分なりに結論を、前向きに考えて結論を出したいと思います。