DeNA桑原将志外野手(25)が、史上67人目のサイクル安打を達成した。1回に6号先頭打者本塁打を放つと、勢いのまま安打、三塁打と連ねてリーチ。先頭で迎えた8回の第5打席に、左中間への二塁打を放った。開幕から苦労してきたリードオフマンが暴れ、チームは阪神に大勝した。

 ハマの夏男が泥だらけになっていた。8回先頭。桑原は初球、阪神高橋聡の高めの真っすぐを左中間へ。中堅が不慣れなナバーロの手間取る間に、一塁を蹴って二塁到達。サイクル安打は球団史上日本人では40年ぶりの快挙に「野球人生の中で一番うれしいかもしれないですね」。前半戦の鬱憤(うっぷん)を晴らすように打ちまくった。

 1点を追う1回裏に先頭打者本塁打。2回に単打。4回の右翼フェンス直撃三塁打で、ベンチをざわつかせた。「サイクルいけるぞ」。王手をかけた第4打席、四球を選んだ。積極的かつ平常心で第5打席に立っていた。4、5月の序盤は不調から先発剥奪。ラミレス監督から「脳のコンピューターが異常をきたしているようだった。リセットが必要」と時間をもらった。

 昨季全試合1番打者として先発し「試合に出ることが当たり前」と思っている自分に気づいた。「前半戦、試合に出ていないときに、考える機会を与えられたことが大きかった。ハングリーな気持ちをもう1度取り戻した」。98年優勝メンバーで、1番打者だった石井琢朗(現ヤクルト打撃コーチ)の記録「174安打、103得点、出塁率3割8分9厘」を常に頭にたたき込む。理想を追い求めながら足元を見つめ直していた。

 7月の打率は4割8分9厘と圧倒的数字を残す夏男。お立ち台でインタビュアーを務めた女子球児の質問に答えた。「自信を持って一生懸命練習して、打席で強気で『私が打ってやる!』と思って打席に立ってください!」。その心意気で今日もハマの1番に桑原が入る。【栗田成芳】

 ▼桑原が7月9日山田哲(ヤクルト)以来プロ野球67人、72度目のサイクル安打を達成した。DeNAでは02年7月27日ロドリゲス以来7人、9度目(ローズが3度)。初回先頭打者本塁打を含むサイクル安打は、76年7月7日衣笠(広島)79年5月20日真弓(阪神)14年9月2日ロサリオ(広島)16年7月20日大島(中日)に次いで5人目。