東北から世界へと巣立っていったスーパースターが、これからの楽天を背負う若者たちに金言を授けた。ヤンキース田中将大投手(30)が23日、かつての本拠地、楽天生命パークで練習を行い、学校行事で不在だったドラフト1位の辰己涼介外野手(22=立命大)を除く新人9選手と交流した。ドラフト3位の引地秀一郎投手(18=倉敷商)が「25連勝するにはどうしたらいいですか?」と質問するなど、憧れの存在との貴重な時間は刺激にあふれた。

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田中は「僕が思うことを言っただけ。全てうのみにしてもらっても困るし、何か引っ掛かってくれればいいかな」と控えめに振り返っていたが、どれほど有意義な時間だったかは、新人選手の目の輝きが物語る。引地は「ずっとプロ野球のゲームとかで使ってきた人なので」と夢見心地。育成2位の則本佳樹投手(24=山岸ロジスターズ)は「兄が楽天に入って、どこか身近に感じていましたが、テレビで見るより大きく、オーラがある」と圧倒された。

30分ほどの交流は新人選手が1つずつ質問し、最後に田中がメッセージを送るというものだった。則本がウエートトレーニングについて尋ねると「重要だけど、人それぞれ。合う合わないもある。僕も失敗して(確立した)今がある。どんどん失敗して、ストレッチやケアを含め、自分なりの方法を見つけてほしい」。引地が「どうやったら(13年の田中の)24連勝を超えて25連勝できますか?」と聞いた時、田中も思わず苦笑いしたという。それでも「流れをよく分かった上で投げ、要所を締める」「その日その日のベストを尽くす」と、負けない投手の条件の一端を教えてくれた。

ドラフト7位の小郷裕哉外野手(22=立正大)は「自分が何を評価されてプロに入ったのか。自分の武器を忘れずに」という言葉を胸に刻む。11日に行われたNPB新人選手研修会でも元中日の岩瀬仁紀氏(44)から同じ助言をもらっていた。「偉大なおふたりが共通して言われていることなので、特に印象に残りました。まず自分の武器を磨くことを大事にしたい」とうなずく。引地は「日本で活躍して、田中さんのような偉大な投手になることができたら、自分もいつかメジャーに行きたい」と決意を新たにした。【亀山泰宏】