右肩の故障から復帰を目指す中日松坂大輔投手(38)が、今季初登板を完璧投球で飾った。28日、福岡・タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグのソフトバンク戦で先発し、2回を打者6人無安打3奪三振。変化球を駆使して切り抜けた。

練習日にゴルフを行ってペナルティーも受けたが、「平成の怪物」は第1段階を古巣相手に合格発進。交流戦明けとなる6月下旬からの1軍復帰が現実味を帯びてきた。

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松坂が投じた球に、ソフトバンク打線は対応できなかった。1回、先頭の真砂を二飛に仕留めると、続く三森にはチェンジアップで3球三振。1軍主力級の中村晃にはスライダーで空振りの三振を奪ってみせた。2回も鮮やかに3者凡退。右肩の故障からの復帰登板で予定通りの20球を投げ終えた右腕は、涼しげにマウンドを降りた。

「いろんなことを探りながら、そーっとゲームに入っていた。もう自分は変化球で打ち取る投手。だいたいイメージ通りだったし、最初としては良かったと思う」

実は試合前のブルペンでは右ふくらはぎがつっていた。「昨年もあったことで、直球はやめようと思った」。悪化させないため、直球を捨てた。「変化球を上手に操れるかどうか。モデルチェンジもしていかないといけないなかで、いいきっかけにはなると思う」と胸を張った。災い転じて福となす。怪物と呼ばれた右腕らしく、いかなる状況にも克服して復帰第1歩を踏み出した。

2月キャンプでのファンとの接触をきっかけに右肩に炎症を起こした。復活を誓う中で、練習日にゴルフを行い、今月中旬にはペナルティーを科せられた。だがしっかり反省し、前を向いて取り組んだ。復帰の舞台が、17年まで在籍したソフトバンク2軍の筑後だったことに「歓声が上がったのはうれしかった。ここは自分のホームみたいなもの」。登板後には即席サイン会も行った。

小笠原2軍監督は「内容よりも投げられたことがプラス。今後については明日の状態をみてからになるが、ここまでの道のりからすれば、今日は上出来だ」と評価した。松坂本人は今後について「(明日から)問題なければ1週間後かなと思う」。回復が順調ならば6月4日からのウエスタン・リーグ広島戦(由宇)が有力。交流戦明けでの1軍復帰が現実味を帯びてきた。【浦田由紀夫】