黄金ルーキーの快投で首位奪取だ。日本ハムが「日本生命セ・パ交流戦」の広島1回戦(札幌ドーム)に先勝した。1点を追う初回に、中田翔内野手(30)が逆転決勝打を放つなど一挙5得点の速攻劇で5カード連続で初戦を取った。パ・リーグ首位に0・5差でピタリと付くチームは、12日同戦でドラフト1位の吉田輝星投手(18)をプロ初登板初先発に送り込み、首位浮上を狙う。

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主将が力強く、逆転劇の号砲を鳴らした。中田が、最初の絶好機を逃さなかった。1点を先行された直後の初回無死満塁。初球だった。迷わず、ほぼ真ん中に来た、139キロの直球系を振り抜いた。三塁手の頭上を抜く、決勝の逆転2点適時二塁打。「内、外にしっかり投げてくるピッチャー。追い込まれてからはきついので、初球から自分の打てる、甘いボールが来たら打とうと思っていた」。頼もしく、一振りで試合をひっくり返した。

チームリーダーの活躍は、打線に活気を呼ぶ。続く王柏融も2点適時打を放ち、中島は13球粘って適時打。初回に6安打を集中する打者一巡の猛攻で一挙5得点。野村をKOし、一気に試合を決めた。球場を後にする前には、12日へ向けて気持ちを切り替えた。

中田 明日も、しっかり勝ちにいきたい。相手は球界を代表するピッチャーですけど、気負うことなく、どんな形でも援護できればと思う。緊張してる?と聞いたら『まだ、大丈夫です』と言っていたけど、緊張はすると思う。大瀬良君なので難しいけど、援護したいね。

ドラフト1位の後輩の節目に、今度こそ、援護点を約束した。

6年前、中田は悔しがっていた。「早い段階で援護できなかった」。13年5月23日ヤクルト戦(札幌ドーム)。大谷が投手としてプロ初登板初先発した試合で、2点を追う8回に同点12号2ランを放った。5回2失点と奮闘した大谷のプロ初黒星を消す1発にも、登板中には援護できなかった責任を感じていた。12日も、後輩思いのキャプテンが、いつも以上に燃える舞台となるはずだ。

チームは首位と0・5差。栗山監督は1軍デビューする吉田輝に「自分がやってきたものを必死にがむしゃらにやってほしい。自分を出せれば、結果は付いてくる」と期待した。さあ舞台は整った。スーパールーキーの快投で首位浮上だ。【木下大輔】