巨人吉川光夫投手(31)宇佐見真吾捕手(26)と、日本ハム藤岡貴裕投手(29)鍵谷陽平投手(28)の2対2のトレードが成立し、26日に両球団から発表された。レギュラーシーズン再開前に、中継ぎ投手の補強を目指した巨人と、捕手、投手の選手層の厚みを求めた日本ハムの思惑が一致した。過去にもトレード実績がある両軍が、電光石火でまとめたトレードの背景を探った。

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日本ハムにとっては、16年まで在籍した巨人吉川光の獲得という異例の復帰トレードとなった。レギュラーシーズンの再開に合わせて、停滞気味のチーム状況を打破しようという思惑が透けて見える。

先発陣の整備は昨季からの課題だった。その中で、今季に入って1試合で先発2投手を起用する「ショート・スターター」を新たに導入。選手の“成長ポイント”を見極める手腕にたけた栗山監督の采配で駒不足を補い、交流戦の半分を消化した時点で混戦パ・リーグの首位に立った。

暗転したのが、6月18日DeNA戦(横浜)だ。昨季チーム最多勝の上沢が、試合中に左膝を骨折し今季絶望というショッキングな出来事を境に、チームは1勝4敗と負けが込み4位に転落。札幌ドームで全体練習に参加した栗山監督は「ナオ(上沢)の穴は埋まらない」とした上で、吉川光について「長いイニングを投げられるからね。一番光る場所があるはず」と、日本ハム在籍時の12年にMVPを獲得した左腕の先発起用に言及した。

今季、中継ぎに転向した吉川光は9試合に登板し1敗、防御率9・95と低迷しているが、10年間在籍した古巣で復活が期待される。左打ち捕手としてオーダーの幅を広げる宇佐見も、併せて獲得。かつてダルビッシュ(カブス)の抜けた穴を見事に埋めた経験豊富な吉川光の再生をもくろみつつ、チームの再浮上を狙う。【中島宙恵】