ハマの守護神が「M1」とした。DeNA山崎康晃投手(26)が、巨人13回戦(東京ドーム)の2点リードの9回に登板。1死から連打を浴びたが、無失点で切り抜け、巨人の連勝を7で止めた。今季16セーブ目を挙げ、これで通算149セーブ。史上14人しか達成していない「150」を視界に捉えた。

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山崎は苦笑いを浮かべ、捕手の伊藤光と抱き合った。2点リードの9回。先頭重信を内角147キロで空振り三振に仕留めたが、そこから連打で1死一、二塁とした。2連敗で迎えた巨人戦。前夜には4位に転落した中で「一打出れば、同点になっていたかもしれない。何とか3タテだけは阻止したかった」と気持ちを奮い立たせ、無失点で仕事を果たした。

今季16個目のセーブは、6月23日楽天戦以来となる通算149セーブ。ついに史上15人目、プロ野球史上最年少での150セーブが見えた。前半戦での節目達成も夢ではないが「あんまり数字ばかり追い求めてもよくないと思うので、どっしりと構えて、そういう舞台が来たら、しっかり準備をしたい」と、あくまで冷静に努めた。

1年目から守護神に抜てきされ、5年目のシーズンを迎える。これまで、幾つもの修羅場を乗り越えてきた。もともと前向きなタイプだが、極度の不安に襲われる日々もあった。「心理学の本を読んだ時もあった。何か引き出しになれば、いいなと思って。特に自分は球種が少ない。何か勉強して、何かに生きればいいなって思いました」と見えないプレッシャーと闘ってきた。

今や代名詞ともなった「ヤスアキジャンプ」も、心を整える方法の1つ。登場曲のZombie Nationの「Kernkraft400」のCDは自宅に保管し、休日や遠征先ではYouTubeで見ることもあった。「胸騒ぎじゃないけど、コレコレという感覚になる。ワクワクするんですよね。ドキドキするというか」と気持ちを高め、マウンドに上がってきた。

プロ初登板、100セーブを挙げた東京ドームでの偉業達成とはならなかったが「思い入れのある球場ですけど、場所は選べない」と静かにその時を待つ。積み重ねたその先に、七夕の夢に掲げた「名球会入り」も見えて来るはずだ。【栗田尚樹】