オリックスが、内野安打1本で自力優勝を復活させた。初回、先頭の福田が三遊間を襲う遊撃内野安打で出塁。1死一、三塁に好機を広げ、吉田正の犠飛で先制。その1点が決勝点になった。初回先頭打者の1安打で勝ったのは00年5月23日広島以来、19年ぶり5度目だが、その1本が内野安打だったのはプロ野球史上初めて。執念とも言える勝利で、チーム9連敗中だった楽天則本昂を沈めた。

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球団69年ぶりの1安打勝利だが、内容は過去を超えていた。初回、楽天則本昂の初球、144キロストレートを捉えた福田の打球が三遊間を襲う。遊撃・茂木がグラブを伸ばすも、届かない。先頭打者がマークした内野安打。これがオリックス唯一の安打になった。

続く大城が犠打を決め、1死二塁。3番・中川の遊ゴロで、二塁走者の福田は三塁へ走った。打球を処理した茂木は三塁へ送球。タイミングはアウトだったが、三塁のウィーラーは福田の足ではない地面をタッチ。2死一塁と好機がしぼむはずが、オリックスには幸運な空タッチで、1死一、三塁にチャンス拡大。ピンチを迎えて則本昂は一気にギアをあげたが、吉田正が152キロの速球を中堅にまで運ぶ犠飛で虎の子の1点をたたき出した。

「一、三塁のあのチャンスで、ゲッツーだけは避けたかった。そうそうチャンスを作れるピッチャーじゃないので、まず1点と。1安打勝利? なかなかないですよね」と吉田正も苦笑する。

2回から7回まで、鬼気迫る則本昂の前に、チャンスすら作れなかった。それでも山岡-ディクソンの力投で、先頭打者の内野安打1本でオリックスが史上初の勝利を手にした。

「もっと打てればよかったんでしょうけど…」と言った西村監督も、30年前に引き戻されて思わず声を失った。89年8月31日の日本ハム戦で、ロッテが初回の先頭打者の安打1本で勝利。その先頭打者こそ、西村監督だった。「全然覚えてない。(ぼくが)29歳の時でしょ…。よく調べたねえ」と目を丸くした。

まさに執念の後半戦初勝利。首位ソフトバンクが日本ハムに競り負け、オリックスの自力優勝が復活。3位・西武とも3・5ゲーム差だ。【堀まどか】