<編成部長サブロー氏>

日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)がアマチュアの2つのカテゴリーを往来し、チェックを重ねた。17日に社会人の都市対抗野球2回戦のJFE西日本-日本製鉄広畑戦に足を運び、ドラフト上位候補のJFE西日本・河野竜生投手(21)の可能性を探った。

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河野は直球が平均140キロ前後で状態は良くなかったのだろう。ただ悪いなりにゲームをつくる能力がある。スライダーはカウント球にも勝負球にもなり、リズムも良く、制球力もまずまず。ピンチが何回かあっても抑えられるのは先発に必要な能力だ。

プロで勝つためには「抜くボール」を覚える必要がある。左腕からの直球とスライダーで右打者に対し、対角線上に入ってくる軌道しかない。100キロ前後のスローカーブもあるがプロの打者ならカーブを頭の片隅に入れつつ、直球にも対応できる。フォークも1球だけ投げたが130キロ中盤で速すぎる。マスターすべきはチェンジアップだ。

右打者は左腕の内角のスライダーはポイントを前にして対応するが、奥行きが出るチェンジアップがあれば、さらに突っ込まされる。プロ入り当初は大きなカーブが武器だった杉内俊哉、高校時代はスライダーで三振の山を築いた松井裕樹が後にチェンジアップを武器にする左腕に変身したことを考えて欲しい。

人間の目は横より縦の動きの方がついていきにくく、奥行きへの対応はさらに難しい。片手を目いっぱいに伸ばし、もう片方の手を視界に入る少し前に置き、交互にツメを見てほしい。焦点を絞るのに時間がかかるはずだ。だから奥行きが出る球種は有効なのだ。ボビー(バレンタイン)はロッテ監督時代に投手全員にチェンジアップの習得を指令したほどだ。

フォーム的にテークバックが小さく、状態が良く150キロ出るなら、かなり打ちづらい。抜く球が加われば、プロで2ケタ勝てる。