ソラーテが打って踊って、甲子園がセクシータイムだ。メジャー通算75本塁打の阪神新外国人、ヤンハービス・ソラーテ内野手(32=マーリンズ傘下)が22日、西宮市の球団事務所で入団会見を行った。内外野守れる両打ち砲の愛称は感情豊かにチームを盛り上げる「セクシータイム」だ。「矢野ガッツ」を旗印にするチームにぴったりの陽気なガッツマン。今週中にも1軍昇格し、大逆襲の使者になる意気込みだ。

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ソラーテはグラビア撮影のように、無数のフラッシュライトを浴びた。整えた髪で、カメラマンからのポーズ要請に笑顔で応えた。長時間のフライトを経て前日来日したばかりだが、心身ともにスイッチONだ。

「野球に集中して良い結果を出すためには格好(プレースタイル)もセクシーでなければいけない。ハートが一番大事。結果や数字にこだわらず、強い心を持ってやっていきたい」

米国時代のニックネームは「セクシータイム」。ベンチで踊ったり、叫んだりしてチームを盛り上げる姿から名付けられたという。セクシーでいるための秘訣(ひけつ)は「自分で自分の中身をしっかりと磨くこと」。陽気なガッツマンが目を見開いた。

両打ちでメジャー通算75本塁打。三塁を中心に内野はどこでもOKで、得点力不足に悩む阪神を救うためにやってきた。「プレーオフ(CS)に行きたい。そこを目指さないと何も始まらない。自分の100%を出せるように全力でやりたい」。大逆襲の救世主は俺に任せろ、の心意気だ。

「矢野ガッツ」を旗印にするチームにもぴったりだ。心から楽しんでプレーすることが好結果を生むとの考え方は、ソラーテの信条と合致する。「そうやって自分もプレーしていた。踊ってチームを盛り上げることもあった。その方が結果も良い方向に出る。より良い方にいける」。得点力アップに加え、さらなるムードアップにも一役買う。

あのレジェンドから受けた影響も大きかった。メジャー1年目の14年ヤンキース時代。イチローと同じチームで戦った。「イチロー選手は印象に残っています。あんなに規律のある選手は見たことがなかった。試合中の集中力とか、みんなを励ます姿だとか…」。ロッカーが近かったという大打者からも、セクシーのルーツを受け継いでいる。

ベネズエラで生まれ、米国を経て、32歳で今度は家族を連れて国境を越えた。鮮やかなゴールドリングが、覚悟を物語る。「(日本は)きれいで美しい国という印象。家族もすごく気に入っていた。ここで活躍して、みんなに喜んでもらえるように頑張りたい」。

途中加入した虎の歴代助っ人は、ブラゼルら一部を除いて成功例が少ない。だがそんな負の歴史も覆す意気込みだ。「メガホンを持って応援して歌を歌ったり、すごい印象でモチベーションになる」。大逆襲のシンボルと化し、ファンを歓喜に導く。【真柴健】

◆ヤンハービス・ソラーテ 1987年7月3日生まれ。ベネズエラ・バレンシア市出身。同国のトーマス・アルバ・エジソン高から05年にツインズ入り。14年の開幕時にヤンキースで初の昇格。その後パドレス、ブルージェイズ、ジャイアンツと移る。17年には自己最多の18本塁打。メジャーでは内野全ポジションのほか、左翼も守った。通算670試合、打率2割5分8厘、75本塁打、307打点。180センチ、92キロ。右投げ両打ち。

◆スポーツ界の“セクシー” サッカーの「セクシー・フットボール」が有名。美しいサッカースタイルを表すもので、オランダの名選手だったルート・フリットが、英ニューカッスルの監督に就任した際に名付けたもの。日本では、05年の全国高校選手権で、乾(現アラベス)らを擁した野洲(滋賀)が、華麗なパスワークを駆使して優勝したことで広く知られるようになった。