西武山川穂高内野手(27)が、復活をアピールする今季5度目の2本塁打を放った。

1-1の2回に36号ソロで勝ち越すと、5回に37号2ラン。近い将来、本塁打王を争うであろう日本ハム清宮とアーチを競演し、1本上回った。敗れればソフトバンクにマジック点灯の可能性があった一戦で大暴れ。4番降格から10試合目。ようやく山川らしい姿が戻ってきた。

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格好悪くてもいい。山川は下半身で踏ん張りながらバットを残すと、最後は右膝を着きながら左翼席へ運んだ。同点に追い付かれて迎えた2回先頭。ファウルで粘り、9球目の106キロの緩いカーブにバットを合わせた。「いってくれと思いました」とつまずきそうになりながら走り始め、打球を見届けた。この36号ソロを呼び水に、この回4得点。決勝弾となった。

譲りかけた流れを引き戻した。1点リードの直前の守備中、同点アーチを放った日本ハム清宮の姿に「ただただ、格好いいと思いました。バットの投げ方、走りだす姿。高卒2年目でなかなかできないですよ」と見とれた。バットの交換もお願いしたことがある未来のスター候補。「彼は美しい。でも僕は汚くていいんです」と、割り切る。

プロ入り間もない頃、中村のフォームを見てマネをした。しかし、モノにできない。「中村さんは素振りがきれいなんですよ。でも僕にはそれができない。汚くていいんだと割り切るようになってから、打てるようになった」。5回には37号2ランで2カ月半ぶり5度目の2本塁打。「いつか戦わないといけない相手。そのとき負けないようにしたい」という清宮に、本塁打王としての姿を見せた。

4番降格から10試合目。本来の姿を取り戻しつつあるが完全復調を願う辻監督は「今日、2本打ったくらいでは戻さない」と見守る考え。残り30試合で首位と4・5差。山川は「どこが復調か分からない。今日みたいにできれば、数字は出ると思う」と継続を強調した。山川が4番に戻るときには、タカの背がくっきりと見えている。【栗田成芳】