エースの誇りを示した。楽天則本昂大投手(28)がロッテ戦で6回2/3を3安打1失点と好投し、7月24日以来となる3勝目を挙げた。負ければ5月17日以来の借金生活に突入、今季ロッテ戦のカード負け越しも決まるという瀬戸際の一戦でチームを救う快投を演じた。

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「負ければ借金」は、あの日と同じだった。則本昂が右肘クリーニング手術からの復帰戦でチームの10連敗をストップした7月9日のオリックス戦。「『それ』に気付いたのは、今日の朝。そこまで気にしていなかったけど、チームとして借金に入るのは良くない」。闘志は胸の内に秘め、マウンドに仁王立ちした。

14日のソフトバンク戦で今季最短となる4回KO。中6日の調整をフォームのバランス修正に充ててきた。登板2日前に仙台でブルペン入りした際には、佐藤義則投手テクニカルコーチに棒を持って背後に立ってもらいながら、チェックを繰り返した。意識も転換した。「(復帰後に登板を重ねて)できることが増えて、求めすぎていた部分があった。もう1回初心に戻って、投げられる喜びを感じながら投げた」。雑念を排し、力みなく腕を振った。「効率よく、無駄なく、いいフォームで投げられた」とうなずいた。

手術を経て進化した。昨季に続き、今季も登板試合でマスクをかぶったことがある堀内は「僕より嶋さんの方が断然分かっていると思いますが…」とした上で「去年に比べて、真っすぐの質が上がっていると思う。メチャクチャ『強い』。(則本が復帰してから)手が痛すぎて(ミットの下の)左手に守備用手袋をつけて捕るようになりました」と証言する。

平石監督も「マウンドの振る舞いも含め、全てがエースらしい投球」と賛辞を惜しまなかった。自分が試合をつくり、守護神松井が締める理想的な勝利にエースも手応えをにじませる。「ホークスも負けて、リーグは混戦。松井も節目の30セーブを挙げたし、これからもそういうシチュエーションをつくって渡せたら。1人1人が、やるべきことをしっかりやれば勝てる」と力強く宣言した。【亀山泰宏】

▽楽天ブラッシュ(7月17日以来となる23号ソロ)「ノリモトが頑張っていたからね。久しぶりに打てて良かったよ」