近本あっぱれ、際立つ1球で仕留める反応/梨田昌孝

<梨田'sEYE~リーグV2度の知将~>

近本は見事だ。長嶋さんといえば、私たちも憧れる野球界の神様。その方に肩を並べ、追い抜こうというのだから、あっぱれと言うほかない。試合前の練習で「長嶋さんの記録は意識するんじゃない?」と聞いたら、「意識せずに、1日1本ずつコツコツやります」と笑っていた。謙虚な言葉通りの毎日の積み重ねが、快挙を生んだのだろう。

私が捕手の立場でも、弱点が少なく、打ち取るのが難しいと感じる選手だ。交流戦あたりで内角が弱いのでは、と攻められ、下降した時期もあった。だが、バットを短く持ってファウルで粘る技術で対抗できるようになった。足も速いから内野安打を警戒して三遊間が前を守る分、ヒットも外野に抜けやすい。これはイチローともよく似ている。加えてバットを振り切れる体幹、特に下半身の強さがあるから、本塁打も打てる。

積極的な打撃も素晴らしい。特に第1打席は2ナッシングと追い込まれたが、勝負にきた3球目をとらえて三遊間を破った。0-2ならボールを挟んでくるのではと油断することがあるが、それが近本には感じられない。この集中力、そして真っすぐでも変化球でもストライクを1球で仕留める反応力も際立っている。

阪神という人気球団で、ドラフト1位のプレッシャーに打ち勝っての記録だから、より価値がある。この先どんな選手になっていくのか、ますます楽しみだ。

その他の写真

  • 阪神対ヤクルト 8回裏阪神2死、一塁への内野安打でシーズン153安打を記録する近本(撮影・清水貴仁)
  • 阪神対ヤクルト 試合後、場内1周でファンにあいさつする近本(撮影・清水貴仁)