山賊がV2に王手だ! 西武が楽天との接戦をモノにして、優勝マジックを2にした。

辻発彦監督(60)は、同点で迎えた8回満塁の場面で送った代打メヒアが、勝ち越し3点適時打。終盤は平井、増田の必勝継投で逃げ切り勝利。投打でズバリ采配的中し、連敗を2でストップした。24日ロッテ戦(ZOZOマリン)で勝って、2位ソフトバンクが負ければパ・リーグ2連覇が決まる。

  ◇    ◇    ◇

静かに腰を上げ、ねぎらいの握手をかわした。マジック2をともす勝利。リーグ連覇に王手をかけた。辻監督は表情を緩めることはない。ペナントをかけた勝負はまだついていない。すぐ後ろにタカが迫っている。戦況を見極め、勝負どころで采配を振った。

8回2死から3者連続四球で満塁のチャンス。代打メヒアを送る。追い込まれてからボールを1球見送ると、内角への153キロの直球を左中間に落とす走者一掃の勝ち越し3点打。20日の本拠地最終戦でも、代打サヨナラアーチを描いた救世主に「今日もメヒアさまさま。いいところに飛んでくれて、助けてくれた」。ベネズエラ出身の大砲に感謝した。

序盤、主導権の取り合いを制した。3回無死三塁のピンチ。内野は前進守備で構えた。先制されれば流れを渡しかねない。すると先発の本田が、三直と盗塁死、二塁ゴロで無失点に封じ「点を与えず、こっちに流れがきた」と直後の攻撃で2点先制した。7回に追いつかれても直後に勝ち越し。1度もリードを許すことなく、勝ちきった。

試合前は少し迷っていた。「サンペー(中村)が疲れているし、栗山もDHで使いたい。そうするとサンペーが三塁に入ってもらうしかない」。8回に勝ち越した場面は、その中村が四球を選んで始まった。

前日の練習では、あえて白い歯を見せた。21日に5失点と打たれた平井に「お前、どんな顔してんだよ。しょぼくれた顔してんじゃないよ」。指揮官が笑っていれば、選手も自然と顔を上げる。すると8回3者凡退でピシャリと期待に応えた。「平井もよく抑えてくれた。みんな成長している」とうなずいた。

2連覇にまた1つ近づくマジック2。残り2試合。「だから、試合数とマジックが一緒ならマジックじゃないんだって」。はなから全部勝つつもり。最短優勝は24日。他力に頼らず、無欲で臨む。【栗田成芳】

 

▽西武メヒア(8回2死満塁、代打で左中間へ勝ち越し3点適時打)「試合はアウトが宣告されるまで終わらない。そのために地球の反対側から違う国に飛んできた。チームの助けになれたことがうれしい」

▽西武山川(4回1死満塁、岸の初球を先制2点適時打)「初球(を狙った)というより反応です。僕が決めても、メヒアが決めても、終わったときに勝っていればいいです」

▽西武本田(地元仙台で東北学院大の先輩・楽天岸と投げ合い、6回1/32失点)「大事な試合で投げさせてもらい、自分の力を存分に発揮できればと思っていた」

▼西武がM2となり、優勝に王手をかけた。24日に西武V決定の条件は西武がロッテ戦に○、ソフトバンクが楽天戦に●。24日にも優勝が決まる西武だが、西武●でソフトバンク○か△、西武△でソフトバンク○のケースは、西武のマジックが消え、ソフトバンクにM2が再点灯する。

▼8回に代打メヒアが勝ち越しの3点二塁打。メヒアのV打は9月14日ロッテ戦のサヨナラ二塁打、同20日楽天戦のサヨナラ本塁打に次いで今季3度目。ソフトバンクがM12を点灯させた9月12日まではV打が1度もなかったメヒアだが、その後はチーム7勝のうち3勝がメヒアのV打で優勝に王手をかけた。仮に、メヒアが終盤でV打を放った3試合に敗れていた場合、ソフトバンクがM1になっていた。