JRマンが外野競争に参戦だ。17日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、JR西日本・佐藤直樹外野手(21=報徳学園)がソフトバンクから1位指名を受けた。走攻守三拍子そろった右の大型外野手の目標は、広島4番の鈴木誠也だ。広島市内の同社広島支社で会見し、柳田や中村晃、上林らの強力外野陣とのバトルに割って入る意気込みを明かした。

  ◇    ◇    ◇

分厚いソフトバンクの外野陣に、風穴をあける覚悟だ。佐藤は「(ソフトバンクは)選手層が厚くて常に勝っているイメージ。まずは開幕1軍。将来的には打って走って守れる選手になりたい」と目を輝かせた。

予想外の高評価だった。JR西日本広島支社の部屋でドラフト会議の生中継をネットで見ていると、石川の抽選を外したソフトバンクが佐藤を外れ1位で入札。ドラフト前は1位候補で挙がることはなかっただけに「こんなに早く指名されるとは思っていなかったので、頭が真っ白になりました」と笑った。実は朝から緊張が続き、昼食もノドを通らなかったという。

外野陣は柳田や中村晃、上林らがいる強力布陣だが、右打者は不足気味。内川や松田宣らの後継者も育てる必要がある。そんな戦略に佐藤はピッタリだった。

あこがれの存在と同じステージに立つ。この日午前中は通常通り、広島駅の新幹線改札口でお客さんの案内などの業務をこなした。地元広島の選手をはじめ、多くのプロ野球選手が乗り降りする広島駅。昨年の日本シリーズでは「警戒」の腕章を付けてファンの整理などにあたった。何度も改札で見送った選手たちを見て、「いつかは自分も」とあこがれた。今季、報徳学園の2年後輩の広島小園が高卒新人で1軍デビューした。マツダスタジアムにも足を運んで観戦。強い刺激を受けた。

目標選手は、同じ右の外野手で広島の主砲鈴木誠也だ。「走攻守でハイレベルですから」。社会人3年目の佐藤は、50メートル5秒8の俊足に、遠投120メートルの強肩。「肩と足は自信がある。だれにも負けたくない」。打撃も試合後にビデオを見直して気づいたことをノートに書き留めることで、調子の波を減らした。今季は公式戦26試合に出場して打率3割5分2厘、4本塁打、9盗塁を記録している。

花本輝雄監督(54)は「足と肩は上の世界でも高いレベルで競争できる。スイングスピードが速く、体も強い。負けず嫌いの性格もプロ向きだと思います」と太鼓判を押す。鷹のスターを目指し、JRマンがスタートラインに立った。【高垣誠】