プロ野球・日本ハムは23年春、北広島市に「北海道ボールパーク」を開業する。

新球場建設予定地周辺はいま、どうなっているのか。日本ハム担当の木下大輔記者が地元の声を聞きながら、変革の時が迫る地を歩いてみました。

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地図を持って、北広島駅の改札を出た。西口から出て、広いロータリーを抜け、「北進通り」を右へ曲がった。住宅街を抜けていくと、5分ほどで目指していた新球場建設予定地の入り口にたどり着いた。訪れたのは、平日の昼前。腹が減っては歩くこともできぬ…と目に入ったのが「海転寿司シーランド」。迷うことなく、飛び込んだ。

店主の横岡茂樹さん(46)が出迎えてくれた。おそらく建設予定地に一番近い飲食店。「取材依頼も多いですね。テレビもいくつか来たいと言ってくれましたが、人手もいないので、ごめんなさいと断っていました」。注目度はもっと増していきそうだが「ウチはできることしか、できないので」と堅実。これからやってくる新時代へ向けて、気を引き締めているように思えた。

すしは美味だった。腹ごしらえを終えて、建設予定地方面へ。聞こえてくるのは、北広島高校の生徒たちの元気な声くらいだ。広大で、幻想的でもある同所が生まれ変わる。胸を高鳴らせながら、今度は北広島市役所方面へ。BP建設をPRする、のぼりなどが多く立てられている。さらに期待感をあおられて足を伸ばすと、甘美な誘いが…。目の前に現れた「お菓子の安寿真 北広島店」に突入した。

社長の東隆史さん(44)は北広島商工会の会員。「人が来るようになれば、街自体も変えていかないと。面白いところはボールパークしかないから帰ろうじゃ、もったいない」。新たなまちづくりへ向けて、みんなで知恵を絞る。北海道の新シンボルが地元にできる責任感さえ、感じさせた。

名物「とろ~り メープルプリン」を手土産に購入。駅へ向かって帰路に就いた。まだ、歩いて見える光景は目に見えて変わっていない。それでも、取り巻く環境は確実に変わってきている。地元では、それぞれのスタンスで、来る日を待っているようだ。