日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<13年6月19日付>

大谷の投打「二刀流」は、本人の努力と、栗山監督をはじめとする首脳陣の知恵との結晶である。徐々に洗練され、形づくられていったのだが、まだ、何もデータや前例がなかった1年目は、試行錯誤の連続でもあった。この日の広島戦。大谷は「5番投手」で出場し、4回3失点でマウンドを降りると、そのまま右翼の守備に就き8回まで出場した。

試合後、大谷は「(チームが)勝てたのでそれが一番よかったです。楽しかったですね」と言った。初回の投球で157キロをマークし、2回の攻撃では右前打を放った。チームはリードしており、勝利投手の権利もかかっていたが、5回からはグラブを外野手用に持ち替えた。「まだまだやらないといけないことも多いけど、クリアしていければいいです」。特大本塁打や大記録ではないが、大谷にしかできない快挙を、球史に記した。

エンゼルスでプレーする現在は「投手」と「DH」での出場に限定されているが、この年は49試合に外野手としてスタメン出場した。広島戦とは逆パターンで、8月18日のソフトバンク戦では右翼のポジションからマウンドに上がって救援登板したこともある。「1番投手」、「DHから救援登板」そして日本での最終戦で実現した「4番投手」。さまざまな起用法が、ファンにとっては興奮のスパイスとなった。