キューバコンビのバットで一気に王手をかけた。ソフトバンクが助っ人勢の活躍で「SMBC日本シリーズ2019」第3戦に快勝。ジュリスベル・グラシアル内野手(34)が2回に同点2号ソロを放てば、アルフレド・デスパイネ外野手(33)は3、4回に適時打を決め、3打点を挙げた。鷹打線の中軸を担う男たちが力強い働きをみせた。

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ソフトバンクが誇るキューバコンビが敵地でも2人で4打点と暴れた。まずはグラシアルが1点先制された直後の2回、先頭で打席に立ち巨人先発左腕高橋のスライダーをバックスクリーンへ同点2号ソロ。「甘く入って来たボールをしっかりとらえられた。すぐ同点に追いつけた」と出迎えた高谷相手に恒例のボクシングパフォーマンスを見せ喜んだ。第1戦でも巨人が2回に先制した直後に逆転1号2ラン。この日も巨人へ行きそうな試合の流れを引き戻す1発となった。

3回には2死一、二塁から4番デスパイネが中前へ一時勝ち越しの適時打を放った。再び巨人に追いつかれたが、2点を勝ち越した4回2死満塁から、泳がされながらも左翼へ2点適時打を放った。「カットボールに少し崩されたけどいい所に飛んでくれた。みんなでつないだチャンスだったし、追加点を取れてよかったよ」。第1戦で左肘へ死球を受けた。2戦で5打数無安打だったが、4番で使い続けた工藤監督の期待に応えた。

CSファイナルシリーズを4連勝で突破した13日夜、青木通訳が「(14日に)娘の運動会があるので朝一番の飛行機で福岡に戻るけど、みんなはゆっくり帰って」と伝えるとデスパイネは「それなら俺も一緒の便で帰るよ」、グラシアルも「俺もそうする」、スアレス、ミランダも同調し、同便で福岡に戻ることを決めた。東京・立川市の宿舎を早朝のタクシーで出るまで、部屋でささやかなCS突破の祝勝会をした。青木通訳は「いつもワガママだけど、そう言ってくれてうれしかった。彼らの通訳をして本当によかった。運動会を見に行くよと言ってくれたけど、さすがにそれは断りましたけどね」と笑った。チームを愛するデスグラコンビが日本一へあと1勝へ導いた。【石橋隆雄】