日刊スポーツ評論家陣がリレー形式で語る「猛虎再建論」最終回は、85年阪神日本一監督・吉田義男氏(86=日刊スポーツ客員評論家)です。阪神で異例の3度の監督に就いたご意見番は、ラグビー日本代表の「ONE TEAM」に例えて、矢野監督2年目の統率力に期待を寄せると締めくくった。【取材・構成=寺尾博和編集委員】
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ラグビー日本代表は盛り上がりましたな。母校の山城高(京都)はラグビーが強かったし、釜本邦茂がでてくるサッカーでも有名になるんです。
今回のラグビーW杯をテレビにかぶりつきで見ながら、来シーズンの阪神に求められるのは、まさに「ONE TEAM」だと思いました。
今年のペナントレースはどこも決め手に欠いた。日本シリーズにでた巨人は弱かったですな。阪神は結果としてよくやったほうと違いますか。
相手チームがもろかったから、それぞれの評価には差があると思います。でも最終的に3位に滑り込んだのは評価ができる。
近本、木浪ら新人の台頭、リリーフ陣の奮闘といろいろあった。でも、わたしが思う最大の戦力は、この3位になったというチームの「自信」ですわ。
特に、1年目だった矢野監督にとっては大きかった。これを来年はいかに勝つために1つの戦闘集団に束ねるのか、統率力が問われるでしょう。
85年日本一メンバーの真弓、掛布、岡田、平田、木戸らは、こちらが猛練習を押しつけたわけではない。レギュラーになるために自ら泥にまみれたんです。
実に14年もリーグ優勝から遠ざかっている。カベを破れない。最近は実力より人気が先行するチームに映ります。ファンはもっと技術に対して厳しいヤジを浴びせてもいい。
時代が違うといってはそれまでだが、かつてはミスをするとスタンドから「どあほっ、代われ!」といった声が聞こえてきた。ファンも勝負に厳しかったということです。
外国人補強、先発ローテーション整備などポイントははっきりしている。ショートのポジションも気になりますね。でもやはり藤浪になりますわな。
矢野監督2年目のスローガンにも注目してます。わたしの経験からも言えることだが、来年負けたら辞めるぐらいの覚悟で勝負にこだわってほしいと思っています。