待望の一投だ。左膝蓋(しつがい)骨骨折で今季11試合の登板に終わった日本ハム上沢直之投手(25)が10月31日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で、故障後初めてキャッチボールを行った。打球が直撃しケガを負った6月18日のDeNA戦(横浜)以来、約4カ月半ぶり。来季の復活へ向けて、大きな一歩を踏み出した。

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135日ぶりにボールを握った。上沢は感覚を思い出すように右腕を振った。「久しぶりだし、まだ始まったばっかり。でもちょっと(前に)進んだのは良かったかなと思う」。高橋知トレーナーを相手に室内練習場で約10分間、15メートルほどの距離でキャッチボール。「久しぶりのわりには意外と悪くなかった」と手応えありだ。

ボールに触れたのは打球が左膝を直撃し、骨折した6月18日DeNA戦(横浜)以来、約4カ月半ぶりだった。「痛みはありますね。ひざはどうしても気になります」。キャッチボール前に行った壁当てでは、トレーナーに投球動作を動画撮影してもらい、チェックした。「ひざをかばって変なフォームにもしたくないし、そういうところを気をつけながら」と説明した。

左足は日に日に元の状態へと近づいている。一時4センチほど細くなった左太ももは、約2センチ取り戻した。「でも筋力的にはまだまだという感じですね」。屈伸も完全にはできないが、着実に前に進んでいると実感している。今は11月中のジョギング再開を目指して、ひざ周り、主に太ももの筋肉を強くするトレーニングに励んでいる。

地道で辛いリハビリ中、後輩から刺激をもらった。母校・専大松戸の後輩ソフトバンクの高橋礼だ。上沢が誘い、今年1月には鹿児島・徳之島でともに自主トレも行った。日本シリーズ第2戦で好投する後輩を見て「なかなかああいう舞台でいい投球をするのは簡単なことじゃない。負けたくないというか、頑張らないとなと思いますね」と影響を受けた。

入院中にはお見舞いにも駆けつけてくれた。「僕が頑張ってリハビリをして、来年試合で一緒に投げられたらと思う。1日でも早く対戦したいですね」。まだ一度も投げ合ったことがない。その日を目指し、来季開幕には完全復活してマウンドに立つ。【山崎純一】