大阪桐蔭の17年センバツ優勝メンバー、関大・坂之下晴人(2年)が、47年ぶりの決勝進出を決める一打を放った。9回2死から追いつかれて、延長10回無死一、二塁からのタイブレークに突入。先頭打者が三振で走者を送れず、嫌なムードが漂ったが、坂之下が振り払った。「普段は逆(右翼)方向だが、内角へ来る気配がした。遅い変化球だった」と、内角へ食い込む変化球に体をクルリと反応させ、左翼を越える適時二塁打。ベンチに向かって大声でほえた。

72年優勝の立役者山口高志アドバイザリースタッフから、春季リーグ前にバットを極端に短く持つようにアドバイスを受けた。「今までは指2本くらいだったんですが、拳1個と指1本だから指6本くらい短く持っています」。85センチ、900グラム弱のバットを短く持つことで「最後までボールを見られる。コンパクトに振れる」と打力アップした。「練習では打撃投手のL字ネットの右にしか打たない」と徹底した右打ちを続けてきた成果が、この日の内角打ちでも体が開かず打球がファウルにならなかった。

決勝で対戦する慶大には大阪桐蔭で同学年の福井章吾内野手(2年)がいる。この日代打で出てきて三振した姿を携帯で撮影していた。「(初戦の)安打の動画を送ってくれたので、僕も送ります」と笑った。都内に入った後、大阪桐蔭OBが集まって食事にも出かけたという。「甲子園もレベルが高かったが金属バットだった。関大らしい試合をして日本一になりたい」。短く持って木製バットも克服した坂之下が、47年ぶり日本一へ渋く貢献する。【石橋隆雄】