ロッテの未来を築くのは安田や藤原、佐々木朗希らだけではない。今季は序盤からイースタン・リーグの首位を快走。66勝52敗7分けで2位に導いた今岡真訪2軍監督(45)は指揮2年目も、選手の個性を伸ばそうと心を砕いた。1月に育成枠で契約した前ソフトバンクの茶谷健太内野手(21)も手塩にかける1人だ。

-安田がチーム最多の122試合に出場した。茶谷も積極的に起用した

今岡 2軍では安田の次に出た。2割7分の6本塁打。ファームらしい選手でしょう。背番号3桁で。

-育成選手がチーム2番目の出場数。珍しい

今岡 あまりないですよね。能力を見て、試合に使ったということ。開幕直後は1軍から来た選手を優先して使うから一塁や外野を守った。1軍クラスの選手が2軍にいなくなって初めてショートに持っていったとき「いいプレー」をしました。肩も強いですね。

-具体的にどういうことか

今岡 エラーしないということです。彼は守備からですね。チームが勝つために、彼の守備が必要だったということです。

-常に「チームが勝つための言動」を求めている

今岡 選手に数字(成績)は一切、言ったことがありません。「数字を残したから育てた」と言う人はいっぱいいるでしょう。でも、僕は育成はそれだけだと思っていません。「勝て」とは言い続けますが「打て」とは言いません。たとえ無安打とか、結果が出なくても、いつ1軍に呼ばれてもいいようにしなさい、と伝えています。調子が悪い選手でも、1軍に上がる準備をしている。数字で判断しないということです。打てなくてもチームが勝てば「お前の三振、粘ったやろ。あれで次のバッター、打ったんや」と言う。

-茶谷は移籍1年目だ

今岡 茶谷の欠点は、自分の現役時代と一緒です。見栄えが悪い。凡打したときに、やる気がないように見える。「俺と同じタイプやな」と思いました。いままで、彼を評価するときは技術を見ないで、多分、見栄えで判断されてきた選手だろうなと。凡打やエラーのとき、ボーッとしているように映ってしまう。

-本人は、そんな意図はないはずだ

今岡 そう。だから、彼に対してはまっさらで見てあげないといけないのが自分の仕事だと思いました。持っているモノはスゴイ。見栄えじゃなく、それを引き出す作業を1年目にしてあげようということです。

-遊撃守備で結果を示した

今岡 打率も2割7分でしたが、もっと打てるでしょう。長く野球をしていく能力はあると思います。

この2年間、勝つための組織づくりに情熱を注いできた。寮生活、グラウンドでの気構え…。ただ純粋に勝つための姿勢を問うてきた。そういえば、1年前にこう話していた。「野手よりも投手の方が出てくるのが早いと思う」。その言葉どおり、今季4位の1軍には若き先発投手が台頭してきた。3年目21歳の種市はチーム最多タイの8勝。23歳の岩下が5勝を挙げ、序盤から2軍で主戦だったルーキー小島も終盤に1軍ローテーションに定着して3勝した。常勝マリーンズへの道を1歩ずつ刻んでいる。(敬称略)【酒井俊作】