阪神原口文仁捕手(27)が26日、2年ぶりの参加となる2月沖縄・宜野座キャンプへの意気込みを示した。

昨年は大腸がんのために不参加だったが、大病を乗り越え、今季は練習制限なしのフルメニュー参戦。対外試合初戦の2月8日中日戦(北谷)出場もOKだ。投手陣の球質チェックや投内連係の確認などキャンプの重要さを知る男は、強い思いを胸に沖縄に乗り込む。

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甲子園室内練習場を訪れた原口が、目の前に迫った春季キャンプへの思いを言葉に乗せた。「去年とは気持ちの持ち方がすごく変わっている。体のことを心配しなくて、キャンプのことだけに集中してできている。いい状態だと思います」。24日に2年ぶりの1軍キャンプ参加が正式決定。キャンプに臨むこと自体、18年秋季以来だ。練習制限について「全然、何もないと思います」と言い切った。

昨年は1月8日に大腸がんを宣告され、同26日に手術。退院後の2月6日から抗がん剤治療をスタートさせた。大病を乗り越えて迎える今キャンプ。「去年、キャンプをやらないでシーズンを戦って、キャンプって大事と思うことがあった。その思ったところを今回はやっていきたい」という。やるべきことは脳裏に描かれている。「ブルペンもそうですし、投内連係とか、チームの連係プレー。今年の投手の状態だとか、新しく入る投手も把握できる期間」と続けた。

19年は6月に戦列復帰。先発捕手としての出場は7試合だった。捕手として、キャンプで投手の球を受けられなかった影響は大きかった。「特にそれ、思いました。ジョンソンだったり…」と振り返る。だからこそ「今年も(エドワーズ、ガンケル、スアレスと)新外国人投手がいるので、積極的に。タイミングとかありますが、捕れたらしっかり捕ってコミュニケーションをとって。ピッチャーの球を数多く捕れるようにやっていきたい」と語った。

19年129試合出場の梅野が最大のライバルとなるが「自分のやるべきことをやって。しっかり準備して、結果を出せるようにやっていくだけ」と自身のことに集中している。2月8日に予定されている対外試合初戦(対中日、北谷)出場にも「もちろん、そうやって準備しているので」と闘志をみなぎらせる。

「行くからにはアピールしないといけない。やりたいことは自主トレ期間に全部やってきた」。キャンプに参加できる喜びとともに、勝負のときを迎える高ぶりが抑えきれない様子だった。【松井周治】

<原口の昨年がん闘病経過>

◆手術報告 1月8日に判明した大腸がんについて同31日「先日無事に手術を終えました。順調に回復してます」とツイッターで。

◆2軍合流 3月7日、2軍合流。鳴尾浜の室内練習場でトレーニング開始。

◆1軍復帰即タイムリー 6月4日に1軍登録され、ロッテ戦の9回に代打で登場し、適時二塁打。

◆ただいま! 6月9日の日本ハム戦で同点の9回2死二、三塁で代打に。中前にサヨナラ打を放ち「ただいま!」と絶叫。

◆球宴で2打席連続弾 7月13日の球宴第2戦で、「7番DH」で先発出場。2回の第1打席で、前夜に続き2試合にまたがっての2打席連続本塁打。

◆特別賞 11月のセ・パ理事会で、リーグ特別賞受賞が決まった。「いろいろなことで苦しんでいる方々に勇気や希望を与えられるプレーができるように」と決意表明。