社会人野球のトヨタ自動車東日本(岩手)佐野比呂人新監督(42)が、都市対抗と日本選手権で日本一6度を誇るトヨタ自動車(愛知)との親子対決を目標に掲げた。静岡・裾野キャンプ中の25日、「培った知識、経験を伝えて、もっと強く出来るようにしたい。会社も盛り上がると思うので、少しでも早く対戦したい」。1月1日付で就任し、今月16日から同地で本格始動している。

トヨタ自動車で主将を務めた07年に日本選手権初優勝を勝ち取った時の思いは、今でも継続している。「あいさつ、時間厳守、全力疾走、カバリング、意識すれば誰でも出来る当たり前のことを、しっかりやるチームにしたい。練習も試合も常に同じメンタリティーでいられれば結果は出ると信じている」。18年に都市対抗初出場を果たしたチームを、気持ちの面でさらに成長させるつもりだ。

15年からは同社人事部で社業も務め、野球が出来る感謝の意を、頭だけでなく肌で感じた。「車を作るうえで、より良いものを1円でも安く作る努力をしていただいているからこそ、野球が出来ている」。14年限りでコーチを退いてから約5年。突然だった監督就任のオファーに、東北への単身赴任を決意した。

日本選手権(7月2日開幕、京セラドーム大阪ほか)出場権もかかる静岡大会(4月3日開幕)が初の公式戦。「一昨年の全国はさんざんな負け方(東芝に1-12)をしている。そんなに甘くはない。すぐに強くはならないが、力のある選手はいます」。東京五輪の影響で11月22日開幕(東京ドーム)となる都市対抗との2大大会出場に向けて発進した。【鎌田直秀】

◆佐野比呂人(さの・ひろと)1977年(昭52)11月12日生まれ、三重・松阪市出身。三重高で甲子園に出場し、法大では99年春に二塁手でベストナイン。トヨタ自動車での07年にも社会人ベストナイン獲得。日本選手権を3度優勝。11年に現役引退し、翌年から14年までコーチ。右投げ右打ち。家族は妻と2男2女。血液型O。