阪神は5日、新型コロナウイルスの陽性判定を受け、3月27日から大阪府内の病院に入院していた伊藤隼太外野手(30)が退院したと発表した。当面は自宅待機となる。

伊藤隼は球団を通じ「多くの方々にご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」と謝罪。活動休止中のチームの再稼働は最短9日だが、コロナ感染した藤浪晋太郎投手(25)と長坂拳弥捕手(25)は入院生活が続いており、不透明な状況が続く。

   ◇   ◇   ◇

3月末から続いた入院生活を終えた伊藤隼が、謝罪のコメントを発表した。「このたびは、応援していただいているファンの皆様をはじめ、野球界に携わる多くの方々にご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」。4日夜に2度目の陰性判定を受けて退院が決定。その言葉のほとんどが、周囲に向けたざんげだった。

伊藤隼も世界でまん延するコロナに感染した被害者だが、罹患(りかん)までの行動に疑問符がついた。3月26日に藤浪が球界初のコロナウイルス感染者であることが判明。翌27日には伊藤隼、長坂の感染が分かり、阪神から複数感染者が出る事態に発展した。球団のヒアリングで、3月14日に伊藤隼、藤浪、長坂の3選手を含む7選手が大阪市内で知人らと会食したことが判明。食事会が感染経路と確定したわけではないが、感染しやすい状況に身を置いたことで、多方面に影響を及ぼしてしまった。

伊藤隼は3月20日~22日に2軍戦練習試合の中日戦に出場。舞台となったナゴヤ球場では、3月30日に消毒作業が行われた。試合で伊藤隼と接触した中日2軍の2選手は自宅待機。影響は他球団にも及んだ。

伊藤隼は22日に「味覚」「嗅覚」の異常を感じ、26日に新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性判定を受けて27日に入院。その後は一定時間を置いて2連続の陰性判定が必要という厚生労働省の退院基準もあり、入院は10日間に及んだ。伊藤隼は「今後、プロ野球選手として、これまで以上に真摯(しんし)に野球に取り組んでまいります」とコメントした。

今後は自宅での経過観察となる。阪神松尾広報部次長は「入院していた病院で再度受診するように指示を受けています」と説明。自覚症状はないが、練習など体を動かすことも禁止している。新しい体調不良者については「幸い。ない」としたが、藤浪、長坂の2選手は、入院が続く。活動を休止しているチームの再稼働は最短9日以降。依然、状況は不透明で、虎の厳戒態勢は今後も続く。