阪神西勇輝投手(29)が4月30日、大阪府と兵庫県の医療機関に4万枚の医療用マスクを寄贈することを発表した。新型コロナウイルスと闘う医療現場の様子をニュースや知人の話で知り、過酷さを痛感。「誰か1人、選手がやれば、気づきに変わると思います」と野球選手としての使命を感じながら行動に移した。

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医療現場の過酷な状況を知り、西勇はいても立ってもいられなかった。「見ている状況でもどかしさもありましたので、そういうふうに話をいただいたので、即行動に移しました」。知人を通してマスクを入手出来る会社を見つけると、すぐに動いた。約4万枚という膨大な数の医療用マスクは、5月上旬に到着する予定だ。

日々、ニュースなどで現状を目にするとともに、医療現場で働く知人から切迫した様子を聞いていた。「夜間の時に4人に1人がマスクをつけられない状態で、前の日とか2日前までのマスクを除菌したものを使ってるっていう話を聞きました。本当に医療のマスクが足りてない状況はすごく聞いていました」。西勇自身も、外出時は常にマスクをつけるようになり、マスクが少なくなったと実感。アルコール消毒液も持ち歩き、これまでの日常とは違うことを、身をもって知った。

オリックス時代の11年から、日本赤十字社や日本財団子どもサポートプロジェクトへの寄付など、社会貢献活動を毎年、行ってきた。阪神1年目の昨年は、継続的な活動が評価され「若林忠志賞」を受賞。授与された活動資金をマスク購入費の一部に充てたという。「自分たちは目立つ職業でもありますので、一人でも多くの方に広める意味でも、誰か1人、選手がやれば、気づきに変わると思いますので、その1人になれたらいいなと思いますし、これからも続けられる選手でありたいなと思います」。世間に影響力のある野球選手として、社会貢献活動は使命の1つだと自覚する。

最前線で闘う医療従事者に改めて感謝し、そしてエールを送った。「自分たちができないことを、嫌な顔をせずにやってくださっていると思いますし。これからもコロナにかからないように、最善を尽くして頑張ってほしいなと思います」。一刻も早く日常を取り戻すため、力を合わせて闘っていく。【磯綾乃】