プロ4年目のソフトバンク古谷優人投手(21)が「6月開幕」を照準に気持ちを高めている。

「今はいい感じで投げられています。直球もスピードだけでなく、球に強さが出てきたと思う」

4月9日から始まった自主練習は本拠ペイペイドームではなく、福岡・筑後市にあるファーム施設でのメンバーとなった。寮生を中心に選手が密集することもあって、当初は知人のつてで福岡郊外のビニールハウスで単独トレも行ってきた。「人が多すぎると自分の練習ができないので」。1月の自主トレ期間も、筑後市の球場を借り、後輩野村とともに汗を流した。

飛躍を誓ったシーズンは思わぬ足踏みとなった。新型コロナウイルスが列島にまん延。初の1軍入りを目指した古谷に「サクラ咲く」の1軍切符はお預けとなった。投手層の厚いチームにあって、キャンプ、オープン戦でしっかり首脳陣にアピールできたかは自己採点でも疑問符が残る。それだけに、仕切り直しの「開幕」に気合を入れ直した。

日本人左腕として最速となる球速160キロを昨年の3軍戦ではじき出した。だが、課題は制球力。工藤監督のアドバイスもあって、課題克服の途上でもあったが、この自主練習期間にもしっかり自らのテーマと向き合った。参考にしたのは球速169キロをマークし世界最速男の異名を取るチャップマン(ヤンキース)の投球動画だ。「(動画サイトで)チャップマンの2種類の投球ビデオを繰り返し見ました。何度もスロー再生にしたりしました」。チャップマンの下半身と上半身のバランスの良さに驚かされた。「自分はどうしても腕を振りにいこうとしてしまって投球のバランスを崩していたけども、動画を見てから、上体が突っ込まずうまく腕が振れるように、勝手に腕が振られているというような感覚になってきた」と手応えを感じ取った。

3勤1休の自主練習では2度ブルペン入りしている。「50球くらいですけど、いい感じです。仕上がっていると思う。6月に開幕するつもりで調整してきたので、しっかり仕上がっていると思います」。1軍切符をつかみ取るため首脳陣への再アピールを誓っている。【佐竹英治】