ソフトバンク高橋礼投手(24)が28日、今季初実戦のマウンドに立った。キャンプ中に左太もも裏を痛めていた右腕はペイペイドームで行われた紅白戦に登板。試合に投げるのは昨年11月のプレミア12以来だったが、2回を投げ2三振を奪う完全投球を見せた。昨年チーム2位の12勝を挙げたサブマリンが開幕ローテーション入りへ浮上した。

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久々の感覚に、その表情はすがすがしかった。今季初実戦を終えた高橋礼はオンライン取材に応じ「バッターが立つと、練習での100%の投球と力の入り方、気持ちの持ち方も変わってくる。投げられたことですごくいい段階が踏めたかなと思います」と手応えを隠さなかった。痛めていた左太もも裏痛も回復し、3月の時点では難しかった開幕ローテーション入りへ前進した。

白組の4番手で登板。6回に今宮から外角カーブで見逃し三振を奪うなど3人でしとめた。2イニング目も松田宣をシンカーで空振り三振。打者6人に対し、1人の走者も許さなかった。2回を完全投球と好発進したが「結果は良かったけど、内容はあまり納得するものではなかった」と冷静に振り返った。

自身がバロメーターにしているのが直球だ。昨季の好調時は140キロを上回ることもあったが、この日は最速136キロにとどまった。「まっすぐの強さがまだ足りない。去年だとファウルになっているコースでも、前に飛ばされている。140キロに近いボールを投げられるようにしないと」と課題にした。

見守った工藤監督は「順調にきているのかなと思います。ストレートは8~9割近く戻ってきている」と評価。ローテーション入りに向けては「このままイニング、球数が増えていけば、昨年のような彼の状態に戻るんじゃないかと思います」と期待を込めて話した。

この日登板したバンデンハークや石川、二保らも含めて先発争いは激しさを増している。アピールの場は開幕まで多くはない。高橋礼は「またすぐに登板する機会をいただいたので、しっかり調整して、これならシーズン戦えるぞ、というボールを求めてやりたい」と気合十分だった。【山本大地】