ブレーク候補が大きなインパクトを残した。日本ハムの高卒2年目、野村佑希内野手(19)が初回、開幕ローテに内定しているロッテ西野から先制2ランを放った。「少し詰まったけど、自分の好きなところをしっかり打てた」。138キロの内角直球を捉えた打球は、左翼のホームランラグーンへ飛び込んだ。

1年目は2軍戦75試合で打率2割4分5厘、5本塁打、32打点を記録。シーズン終盤には経験を積むため昇格も検討されていたが、昨年8月31日に左股関節後方亜脱臼で戦線離脱。全治5カ月の大ケガでチャンスを棒に振った。

故障してから最初の1カ月は立つこともできず、病院のベッドの上で過ごした。「誰かの力を借りないと何もできなかった。どんなにきつい練習よりも、きつい1カ月でした」。どん底を味わったからこそ、コロナ禍の自主練習期間も有意義に時間を使えた。ソフトバンク内川や広島鈴木誠ら右の強打者の動画を見て研究。「体の一番力の入るポイントで確率よく打てるように意識した」と修正し、結果につなげた。

栗山監督も「こういう試合で1軍投手からしっかり打ち切れることに意味がある」とたたえた。開幕三塁の本命だったビヤヌエバが離脱中で、同タイプの野村に「こんなチャンスないでしょ」とハッパもかけた。開幕後も過密日程で何が起こるか分からない。野村も「いつ1軍に呼ばれてもいいように心構えをしてやっていきたい」。近未来の正三塁手候補が台頭の気配だ。【木下大輔】

◆野村佑希(のむら・ゆうき)2000年(平12)6月26日、米ミシガン州生まれ。父の仕事の都合で3歳まで米国で暮らし「ジェームス」というミドルネームを持つ。帰国後は群馬・伊勢崎市で育つ。花咲徳栄では高校通算58本塁打を放ち、17年夏は2年生4番として甲子園優勝。18年ドラフト2位で日本ハム入団。187センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸600万円。