楽天がロッテに連勝し、首位に並んだ。4番浅村栄斗内野手(29)が初回に左翼席へ特大の5号先制3ラン。その後、雨による中断があったが集中力を切らさず、守備でも好プレーを披露した。攻守でチームを引っ張り、古巣と初対戦となった先発涌井秀章投手(34)に、今季2勝目もプレゼントした。

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すさまじいスイングでボールをしばきあげた。1回1死一、二塁。浅村は左腕小島の139キロ高め直球を強振した。振った後のバットが捕手田村の左手首にぶつかるほど大きなフォロースルーで、打球をピンポン球のように左翼スタンド上段まで飛ばした。

「完璧でした。初回からチャンスで回ってきたので、とにかくランナーをかえそうと思って」。この一撃に続けとばかりに銀次にも適時二塁打が出て、初回に一挙4得点。三木監督の「昨日も先に点を取られたので、何とか先制点を、と思っていました」という言葉を忠実に実行し、一気に主導権を握った。

ただ、この日は一筋縄ではいかない試合展開となった。1回終了後、楽天生命パークは豪雨に見舞われた。約1時間も中断し、待つことを余儀なくされた。そんな中でも浅村は冷静だった。ストレッチで体を動かし、集中力を切らさないように努めた。「また0-0の気持ちで、フレッシュな気持ちでやろう」という指揮官の言葉にも後押しされ、2回の守備についた。

だから、いきなりマーティンの二遊間への鋭いゴロが飛んできても慌てなかった。逆シングルで好捕し、ジャンピングスローでアウトにした。「ダラッと入らず、自分のところに飛んでくる打球をイメージしながら守ってました。良いプレーだったなと思います」。相手にリズムを渡さない自画自賛の守備は、しっかりした準備から生まれたものだった。

先発涌井が5回2失点と試合をつくり、その後は継投で逃げ切った。2試合連発のリーグトップタイの今季5号で勝利の立役者となった浅村だが「ホームランはそんなにこだわってない」という。「とにかくチャンスに打つこと。4番を打たせてもらっている以上、ランナーをかえすのが仕事」。勝負強い打撃で打点を荒稼ぎし、チームを勝利に導く。【千葉修宏】