はよ、1軍に来て~や! 阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18)がウエスタン・リーグ広島戦(由宇)で待望の公式戦1号を放った。「4番右翼」で先発出場。2回に、先発山口の外角直球を右翼に流し打ち、推定飛距離120メートルの先制ソロ。プロ入りから実戦7本目で、逆方向への1発は初めて。1軍は打線改造も実らず、両リーグ最速の10敗に到達。若き大砲よ、ふがいないチームを変えてくれ!

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滞空時間の長い打球が、右翼の芝生席に着弾した。井上は打球を目で追いながらダイヤモンドを悠々と1周。「いつも強く振っていくようにと言われている中でそのスイングができた。しっかりとボールがつぶせたという感触があったので、いい感触でした」。待望の公式戦1号は逆方向への豪快アーチだった。

両軍無得点で迎えた2回、広島山口の外角ストレートを完璧に捉えた。「センター(方向)に打てることはあると思うんですけど、ライト(方向)というのはなかなかない。ライトに打てたというのは良かったかなと思います」。同期入団でプロ初先発の西純を援護する先制ソロ。今季の実戦では7本目。逆方向への1発は初めてだった。8回1死一、三塁では左前適時打を放ち、2安打2打点。広角に打ち分け、非凡な才能を見せつけた。

コロナ禍による自主練習期間から、広島鈴木誠や巨人岡本ら日本を代表する4番打者の打撃フォームを動画で研究してきた。「バッティングじゃなくても股関節の使い方とか、下半身の使い方がまだまだできていない。そういった所を見るようにしています」。いつかは同じ舞台へ。公式戦初アーチは憧れの先輩に近づくための号砲となった。

1軍は貧打に苦しみ、最下位に沈んでいる。結果を残せば、井上待望論が巻き起こることは必至だ。1軍昇格の可能性を問われ、平田2軍監督は「まだ早いよ。打つだけの選手になってほしくないからね。まだまだやることはたくさんある。守備固めも使わずにあえて広大にさせている」と攻守ともにレベルアップを求めた。虎党が待ち焦がれる生え抜きの大砲。高卒ルーキーへの期待は日増しに高まる。【只松憲】