あぁ植田…あぁ球児…。5連勝目前、阪神が痛恨の逆転負けを喫した。新外国人のジャスティン・ボーア内野手(32)が先制2ランを放ち、1点差逃げ切りかと思われた9回。中堅植田海内野手(24)のまさかの後逸で同点とされると、藤川球児投手(39)がソトに勝ち越し2ランを浴びた。

上限5000人のファンを迎えた2戦目。最後の最後で守護神が肩を落として降板する姿に、甲子園が悲しみに包まれた。

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虎党にとってはショッキングな光景が繰り広げられた。1点リードの9回。マウンドを託されたのは、もちろん守護神藤川だ。だが、リードを守りきれず、逆転負け。試合後、藤川は球団広報を通じ「西や、みんなが頑張ってゲームを作ってくれていたのに、こういう形になり本当に申し訳ないです」とコメントした。

1死から反撃にあった。梶谷に四球を許すと、桑原に中前打を打たれた。一、三塁になったかと思われた場面で、守備陣にミスが出た。8回裏に代走出場し、この回から中堅守備に入っていた植田が、打球を処理しようとしたがファンブル。一塁走者・梶谷の一気の生還で同点に追いつかれた。

さらにまさかの展開は続いた。直後、藤川が続く3番ソトに145キロ直球を捉えられ、決勝2ランを被弾。有観客試合で初登板の中、1/3回3失点(自責は2)、22球で交代を告げられた。藤川は日米通算250セーブに残り5と迫っているが、本来の投球とはほど遠い内容が続いている。これで今季5試合目の登板だが、早くも自身2敗目。まだ1度も走者を出さずに終えたゲームがない。矢野燿大監督も「いいとは思ってるわけではないけど。抑えは球児で。現状、俺の中で決めているわけだし。その中で、投げていく中で良くなっていってくれたらなというところで、みてるんで」と語る。

勝利をつかむ目前のところで、チームの連勝は4で止まった。借金は再び5に。矢野監督も「悔しいですし、あのままなんとか勝ちたかったですが、勝負にいったんでしょうがないです」。指揮官は藤川の今後については「今すぐどうこう決められる…終わったばかりなんで、今すぐ考えられない。みんな(報道陣)に言えるようなことは何もないです」と語るにとどまった。守護神として藤川が完全復調するか、勝利の方程式の再編となるのか。いずれにせよ、必勝リレーが文字通り揺るぎないものでなければ、なかなかチーム浮上とはいかない。【松井周治】

○…3番手で登板のスアレスは1点を失った。2点リードの8回に登板。四球と2本のヒットで無死満塁のピンチを招いた。宮崎の遊ゴロで1点を失ったが2死までこぎつけ、代打戸柱は159キロの直球で空振り三振。からくもリードは守った。